「家庭菜園で美味しい野菜を作りたいのに、水はけが悪くて思うように野菜が育たない…」
「雨があがったら野菜の収穫や農作業をしたいのに、土がぬかるんでしばらく畑に入れない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
家庭菜園で人気の野菜の多くは、土が肥沃で水はけが良い環境を好むため、粘土質の土や水はけが悪いジメジメした環境では野菜が上手く育ちません。また、ゲリラ豪雨によって畑全体が水没してしまうようなことがあれば、せっかく育てた野菜が全滅してしまうこともありえます。
そこで、家庭菜園の水はけを改善するには、以下の方法などがあります。
- 表面排水を見直して、雨水が敷地外へ流れるようにする
- 暗渠排水を設置して、水路や雨水桝へ雨水を誘導する
- 土壌に堆肥などをすき込んで土壌改良する
水が溜まらないようにするだけならば、表面排水を見直して、雨水が敷地外へ流れるようにするのが一番有効です。
もちろん、雨が降っても畑が水没しないようにすることは重要ですが、野菜を育てるためには土壌の透水性や通気性も重要になるため、単に水没しないようにすれば全て解決というわけではありません。
そこで、今回は畑が水没しないように排水機能を改善しつつ、土そのものも土壌改良することで野菜が育ちやすい環境を作る取り組みを紹介します。家庭菜園の水はけの悪さに悩んでいる方は是非最後までご覧ください。
家庭菜園の通路の水はけが悪いとどうなるか
家庭菜園の中には、野菜を植えて育てるスペースになる畝(うね)の部分と、人が通ったり作業をするためのスペースになる通路の部分がありますよね。
通路には野菜を植えるわけではないので、通路の水はけが悪くても問題ないと思うかもしれませんが、実際には様々なデメリットがあるので好ましくありません。
それでは、家庭菜園の通路の水はけが悪いとどうなるのでしょうか?
まず、通路の水はけが極端に悪い場合は、ゲリラ豪雨などの強い雨が降った時に畝ごと水没してしまう危険性があります。
もしくは畝までは水没しなかったとしても、通路部分に水がたまってしまうことはよくあるでしょう。
これはうちの家庭菜園の通路の写真ですが、梅雨のように雨がよく降る季節は通路にたまった水がなかなかひきません。
水がひかなかったり、土が酷くぬかるんでいる状態では、通路の中に入ることができず、野菜の収穫や手入れができないというデメリットがあります。
また、常にジメジメしている環境では、苔や藻が発生したり、野菜が病気になる原因にもなりかねません。
このように、家庭菜園の通路の水はけが悪いとデメリットがありますので、畝だけでなく通路も水はけが良い状態を目指すと良いと思います。
家庭菜園に暗渠排水をDIYする場合の注意点
水はけ改善というと暗渠排水を思い浮かべるかもしれませんが、家庭菜園に暗渠排水を設置する場合にはいくつかの注意点があります。失敗すると、せっかくの暗渠排水が邪魔になることもあるので気を付けましょう。
暗渠パイプのデメリット
ポリエチレン製の暗渠パイプ(コルゲート管)を使用する場合は、暗渠を深く掘らないと耕運するときに邪魔になるというデメリットがあります。
具体的には、家庭菜園に暗渠パイプを設置するならば、少なくとも深さ30cm以上掘ることをおすすめします。
そんなに深く掘れないよという場合は、暗渠パイプ以外の方法にするか、土を高く盛るレイズドベッドなどの方法を併用すると良いでしょう。
砕石を使った補助暗渠のデメリット
簡易的な暗渠排水としては、掘った暗渠の中に暗渠パイプを入れず、砕石だけで埋め戻すという方法もあります。
一般的に、暗渠パイプを入れた方が排水能力は高くなりますが、砕石だけで埋め戻す方が設置作業が簡単だったり費用を節約できるというメリットがあります。
また、暗渠の深さが足りなくて暗渠パイプを設置しにくい場合にも使いやすいのですが、浅い位置に砕石を埋めていると耕運するときに砕石を巻き込んでしまうのがデメリットです。
鍬や耕運機で耕しているときに砕石を巻き込んでしまうと、野菜を育てる作土に砕石が入ってしまうので非常に不便です。そのため、家庭菜園で暗渠に砕石を入れる場合は、通路部分であっても深さ30cm以上掘ることをおすすめします。
おすすめは有機物を使った補助暗渠
家庭菜園で暗渠排水を入れる場合のおすすめは、暗渠の中に排水性の高い有機物を入れて補助暗渠にすることです。有機物の種類は籾殻がおすすめですが、その他にも竹・剪定枝・家庭菜園の残渣や刈り草などなんでもOKですよ。
有機物を使用するメリットは、いずれ地中で分解されることにより土壌改良になることです。そのため、耕運するときに巻き込んでしまっても無理に取り除く必要がありません。
一方、有機物を使用するデメリットは、地中で分解されるがゆえに暗渠パイプや砕石と比べて耐用年数が短くなることです。とはいえ、籾殻であれば耐用年数は10年程度もつと言われているので、家庭菜園では十分だと思います。有機物が分解されるということは土がふかふかになるということですし、家庭菜園ぐらいの規模であれば暗渠の施工をやり直すのもそんなに難しくないですからね。
有機物を使った補助暗渠を作るときの注意点
有機物を使った補助暗渠を作るときの注意点は、野菜を育てる作土に大量の有機物が混ざらないようにすることです。
堆肥化されていない生の有機物を大量にすき込んでしまうと、土の中で有機物が発酵するときに発生するアンモニアや地温の上昇により、植え付けた作物の根がダメージを受けてしまうからです。そのため、家庭菜園に有機物を使った補助暗渠を設置する場合は、かなり深く(できれば50cm以上)まで穴を掘って設置するか、通路部分のみに設置するのがセオリーです。
もし、そんなに深く掘れないという場合は、有機物といっしょにカルスNC-Rという土壌改良資材をすき込むことをおすすめします。カルスNC-Rは生の有機物と一緒にすき込むことで微生物の働きを活発にし、土の中で有機物を堆肥化してくれる効果があります。
つまり、カルスNC-Rと有機物を使うことにより、補助暗渠による水はけ改善と堆肥による土壌改良を同時に行うことができるので相性抜群なんです。カルスNC-Rについては以下の記事でも詳しく解説していますので、もし興味がありましたら併せてご覧ください。
籾殻とカルスNC-Rを使って暗渠排水&土壌改良してみた
今回、うちの家庭菜園の通路にて、籾殻とカルスNC-Rを使った暗渠排水&土壌改良をやってみましたので、そのときの様子をレポートしていきます。今回使用した資材は以下の通りです。
道具は剣先スコップと鍬と園芸用ふるいがあればOKです。
家庭用耕運機があればもっと簡単に作業できるのでおすすめですよ。
資材と道具の準備ができたところで作業を早速はじめましょう。
今回は家庭菜園の中央にある通路(幅約50cm×長さ約4m=約2㎡)が対象です。
この通路に深さ20cmぐらいの穴を掘り、下半分を暗渠排水(籾殻を使った補助暗渠)、上半分をカルスブレンド土で埋め戻すイメージで作業します。
ここは昨年も掘り返して、砕石を使った補助暗渠にした部分なのですが、位置が浅すぎて砕石が耕運の邪魔になるので全て掘り出すことにしました。
剣先スコップで5~10cm程度掘ると、昨年埋めた砕石が顔を出しました。
砕石の上に被せてあった土は、踏圧で多少固まってはいましたが、土の塊を手でほぐせるぐらいの固さでした。
コツコツ行っている土壌改良の効果が少しは出てきているかな?
砕石の上の土をざっくり掘り出したら、続いて砕石を掘り出していきます。
作業中に砕石と土が混ざってしまうので、園芸用ふるいにかけて砕石と土を分離します。
土は暗渠を埋め戻すときに使います。砕石は今回はもう使わないので、また別の用途で使えるように土嚢袋に入れて保管しておきます。
せっせと作業を繰り返し、砕石をあらかた掘り出し終わりました。砕石の量は土嚢袋7袋分ほどありました。
※写真の中央に残っている砕石は、横向きに走っている既設の暗渠パイプを保護するために残してあるものです。
穴を掘り終わったら、埋め戻す前にカルスNC-Rと米ぬか・硫安をブレンドしてブレンドカルスを作ります。
<ブレンドカルスの作り方>
各資材をバケツなどでよく混ぜるだけです(記載は1㎡あたりの必要量)
・カルスNC-R:30g
・米ぬか:300g
・硫安:40g
ブレンドカルスも準備できたら、いよいよ埋め戻していきましょう。
まず、穴の底には炭を撒きます。炭は多孔質で菌の活動を活発にする効果などがあり、土壌改良に役立つ資材です。
炭はポーラス竹炭と籾殻燻炭を1:2の比率でブレンドして使っています。竹炭がなければ燻炭だけでも良いでしょう。
炭の次には籾殻をたっぷり入れます。
今回は45ℓのポリ袋×4袋分の籾殻を入れました。
籾殻は踏むとあるていど沈み込むので、ちょっと多いんじゃない?っていうぐらい入れても大丈夫です。
籾殻の次には土を戻し入れます。
土を全体量の半分ぐらい戻して、その上からブレンドカルスをまぶしていきます。
ブレンドカルスの上から残り半分の土を戻したら、鍬で土の部分を耕していきます。
このときに土の塊があれば耕しながら鍬でほぐすこと、下層の籾殻も一部混ぜながら耕すこと、全ての資材が満遍なく混ざるようによく耕すことがポイントです。
耕し終わったら通路の表面を鍬でならして、最後に軽く水をまいて作業完了です。
水をまくことにより、カルスNC-Rの微生物が活発に活動するようになります。
土壌改良後の土はこんな感じです。
通路は人がよく踏む場所なので、どうしてもまた踏圧で固まってしまうとは思いますが、少しでもふかふかになってくれることを期待したいですね。
うちの家庭菜園は、通路から深さ20cmぐらいの位置に暗渠パイプが埋まっているので、今回も深さ20cmぐらいしか掘ることができませんでした(それ以上掘ると暗渠パイプから水が逆流するため)。もし可能であれば、深さ50cmぐらいまで掘って今回の作業を行ったり、穴の底からさらに深い縦穴(点穴)を掘って土壌改良すると、より高い効果が期待できます。ただし、これは労力的に相当大変な作業となるので、無理せずやれる範囲でやってみてください。
まとめ
今回は家庭菜園の水はけを改善するため、籾殻とカルスNC-Rを用いて家庭菜園の通路に暗渠排水を設置&土壌改良する方法をお伝えしました。
排水性を重視するなら暗渠パイプを用いた本格的な暗渠排水、作業性や土壌改良を重視するなら有機物を用いた補助暗渠と、それぞれに特徴があります。
個人的には、家庭菜園規模であれば有機物を用いた補助暗渠のメリットが大きいと思いますし、本格的な暗渠排水に比べると簡単に試すこともできるのでおすすめです。
記事中でも解説した通り、有機物を使って水はけ改善をするときには、カルスNC-Rを併用すると良いと思います。
今回紹介したカルスNC-Rはホームセンターなどでは販売されていません。一部の農業製品専門 量販店での取り扱いはあるようですが、店舗も限定されているので基本的にカルスNC-Rはネット通販で購入することをおすすめします。