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暗渠排水DIYで庭の水たまりを解消するためのポイント

暗渠排水DIYで庭の水たまりを解消したいあなたへ。暗渠排水DIYはただ穴を掘れば良いというものではありません。いくつかのポイントを守らなければ、苦労して穴を掘っても無駄になることもあります。

庭の水はけを改善するには暗渠排水という方法が良いと聞いたので、とりあえずDIYでやってみようと思っている方は、作業を始める前に一旦落ち着いてください。あなたの庭に水たまりができるのには必ず理由があり、解決するための方法は1つ1つの庭それぞれによって違います。暗渠排水にすればなんでも解決するというわけではありません。

我が家の庭はかなりの粘土質で水はけが極端に悪いです。そこで雑木や芝生を育てるために、私は今まで3回に分けて暗渠排水DIYを実施してきました。今までコルゲート管30メートル分を使い切るほど暗渠排水の穴を掘ってきた経験から、暗渠排水DIYを成功させるためにはいくつかのポイントがあることに気付きました。

そこで今回は、私が実際に我が家の庭の水たまりを解消するために行った、暗渠排水DIYの計画策定から施工までの流れを順に説明していきます。暗渠排水DIYに絶対失敗したくないという方は是非最後までご覧ください。

目次

庭の水たまりを解消する方法

庭に水たまりができる理由

庭に水たまりができる理由は、水が周囲から集まりやすく、水の逃げ場がない地形になっているからです。

庭の地面が完全にフラットということは通常ありえません。水は高いところから低いところへと流れますので、庭の中の地面が低い(凹んでいる)場所には周囲から水が集まってきて水がたまるのです。

詳しくは以下の記事で解説していますので、興味のある方は是非あわせてご覧ください。

水の出口となる排水先の検討

庭の水たまりを解消するためには、まず最初に最終的な水の出口となる排水先を考えなければなりません。

今回の現場は庭の南東部分(画像の青線で囲った場所)なので、庭の西側にある水路まで表面排水で誘導するのはかなり大変です。

DIYで水はけ改善

しかし、水たまりの水がなくなるということは、どこかへ排水されていることは間違いありません。

表面排水でなければ地下へ浸透しているとしか考えられないので、試しに東側のコンクリートブロック擁壁(CB擁壁)際を掘ってみました。

すると、手前の庭土は相変わらず極端な粘土質の庭土だったのですが、CB擁壁際だけ砂礫土(砂と石が混ざった水はけのよい土:写真の濃い灰色になっている部分)になっていることがわかりました。

これは明らかに自然のものではないので、過去に外構業者がCB擁壁を作ったときに裏込めした土だと考えられます。

このCB擁壁は土地の前所有者が設置したものなので、どのような工事がされてどういう状態になっているのか、今回地面を掘り返してみるまで全く知りませんでした。

これはCB擁壁際の土中の状態を図にしたものです(地下部分は推測を含みます)。

このCB擁壁には水抜き穴が無いので、裏込めされた砂礫土を通じて、地下まで雨水が浸透することによって排水されていると考えられます。

つまり、CB擁壁際一帯が排水先として機能することがわかりましたので、ここを排水先にしたいと思います。

地面の中の状態は、実際に地面を掘ってみなければわかりません。現場をよく観察することが大変重要です。

排水方法(排水ルート)の検討

CB擁壁際を排水先とすることが決まりましたので、次に排水方法(排水ルート)を検討します。

今回は、最も効率的に水はけを改善できる表面排水と、暗渠排水を併用することにしました。

周囲一帯に降る雨水を、表面排水と暗渠排水でCB擁壁際に誘導し、そこから地下へ透水させて敷地外へ排水する計画です。

暗渠排水を併用するのは、排水効果を高めたいこと、土中環境を改善して芝生や木が育ちやすい庭にしたいという狙いがあることが理由です。

初心者でも失敗しない暗渠排水DIYの手順とポイント

1. DIY計画を立てる

暗渠排水DIYを成功させるコツは、DIYを始める前に計画をしっかり立てておくことです。

庭DIYで水はけを改善するのであれば、前述した「排水先の検討」「排水方法(排水ルート)の検討」が主になりますが、その他にもDIYで使用する工具や材料の準備も重要なポイントです。

例えば、暗渠排水DIYをする場合は暗渠排水用のコルゲート管を手配しなければなりませんが、ホームセンターでは在庫が十分になかったり、自家用車で運ぶのが難しい場合もあるので注意が必要です。

コルゲート管の購入に不安がある場合はネット通販で購入することをおすすめします。私も実際にネット通販でコルゲート管30メートル分を購入しましたが、ネット通販で購入して正解だったと思っています。

その他暗渠排水DIYに必要な材料や、どれぐらいの費用がかかるのかについては、私の実例を以下の記事にまとめていますので是非あわせてご覧ください。

2. 縦穴暗渠(点穴)を掘る

DIY計画を立てて、使用する工具や材料の準備が整ったら、いよいよ施工スタートです。

まず、暗渠排水には「縦穴暗渠」と「横溝暗渠」の二種類があります。「縦穴暗渠」というのは、地面に縦穴を掘って排水管となるコルゲート管や節を抜いた竹などを差し込む方法で、点穴(てんあな)とも呼ばれます。

縦穴暗渠を掘る主な目的は、地表から地下の透水層(水はけがよい地層)まで水の通り道を作ることによって水はけを改善することですが、副目的として縦穴を掘ることで土中の水や空気の流れを生み出し、土中環境を改善して植物が育ちやすい環境を整えることがあります。

実は、縦穴暗渠の利点は副目的の方にあるので、庭に木を植えたり芝生を張ったりする場合は縦穴暗渠をおすすめします。一方、砂利敷きや人工芝の庭にするのであれば縦穴暗渠の利点が活かせないので、排水に特化した雨水枡(雨水浸透枡)の方が良いかもしれません。

縦穴暗渠ダブルスコップ

前置きが長くなりましたが、ここからは縦穴暗渠の掘り方について説明していきます。

まず、地面に縦穴を掘るときは複式ショベル(ダブルスコップ)と呼ばれる穴掘り専用の工具を使用することをおすすめします。

通常の穴掘りに使用する剣先スコップと比べると、作業効率が格段にアップします。

排水目的で暗渠を掘る場合は、縦穴だけでなく横溝もあわせて掘ることが一般的です。その場合、縦穴と横溝の合流部分までは剣先スコップで大きく穴を掘ります。合流部分まで掘ったら、そこから先は排水管となるコルゲート管の径に合わせて複式ショベルで縦穴を掘っていきます。

縦穴を掘る深さに決まりはありませんが、最終排水先として縦穴を使用する場合は必ず地下の透水層まで掘ることは絶対条件です。透水層まで掘らない限り、縦穴に水がたまるだけで排水することができないからです。これは縦穴でも雨水浸透枡でも同じことです。

作業的には複式ショベルを使用すれば深さ50cm程度の縦穴を掘ることは難しくありません。それ以上の深さまで掘りたい場合は、剣先スコップを併用して大きな穴を掘っていく必要があるので注意が必要です。

私の経験では最大で深さ120cmの縦穴を掘ったことがありますがかなり大変でした(深さ120cmの時点でそれ以上掘ることを諦めました)。通常は最大でも深さ100cm程度までに抑える計画にしておいた方が無難ですので、それまでに地下の透水層に達するかどうかがポイントになります。

どこまで掘れば透水層に達するかわからないという場合は、本格的にDIYを始める前にあらかじめ試し掘りをしておきましょう。いざDIYを始めてから透水層が出てこないということになると、一から計画を立て直す必要があるからです。

同じ理由から、最終排水先として使用する縦穴は、横溝を掘るより前に掘っておくことをおすすめします。最終排水先としてではなく土中環境改善のための通気口として縦穴を掘る場合は、必ずしも透水層まで掘らなくても良い(掘った方がより効果は高いですが)ので、横溝を掘ってから追加で縦穴を掘る方法でも構いません。

3. 横溝を掘る

最終排水先となる縦穴を掘ったら、その縦穴に雨水を誘導するための横溝を掘っていきます。一般的に暗渠排水と言われるのは、この横溝にコルゲート管などの暗渠排水管を埋めたものを指します。

暗渠排水の最も重要なポイントは、最終排水先に向かってスムーズに水が流れるように横溝を掘ることです。

そのためには、横溝の底部分に1%以上の水勾配をつける必要があります。つまり長さ1メートルの横溝に対して1cm以上の高低差をつけて掘っていきます。長さ10メートルの横溝を掘る場合は10cm以上の高低差が必要です。

なお、横溝の底部分までの深さは最低でも20cm以上は掘る必要があります。横溝が浅すぎると暗渠排水管やその周囲に入れる砕石などの疎水材が露出したり、排水能力が低くなってしまうので、できれば深さ30cm以上掘りたいところです。

つまり、最終排出先に向かって1%以上の水勾配をつけた上で、最低でも深さ20cm以上の横溝が掘れるかどうか、暗渠排水DIYの計画段階において確認しておくことが重要です。いざ穴を掘り始めてから深さが足りないことが判明すると、暗渠排水の設置自体ができなくなる場合もあるので、そこまでにかけた時間・労力・資材購入費用が無駄になってしまいます。

また、横溝の横幅は20~30cmで掘るのがおすすめです。横幅が狭すぎると排水能力が低くなりますし、逆に横幅が広すぎると疎水材が大量に必要になるので大変だからです。

横溝を掘るときは、最終排水先となる縦穴からスタートして掘っていきます。

横溝掘りに使用する道具は剣先スコップが便利です。地面がガチガチに転圧されていたり、石が多すぎて剣先スコップでは歯が立たない場合は、備中鍬やツルハシを使って掘ります。

剣先スコップを使用する場合は、スコップを地面に垂直に挿し込んで、てこの原理で手前側に体重をかけて土をめくっていくと楽に掘れますよ。

横溝を掘るときは、最初は水勾配を何となく意識する程度でいいので距離を掘り進めることを優先します。

横溝を最後まで掘り終わってから細かい水勾配を調整する方が効率が良いからです。深さが足りない場合は鍬やスコップで掘り、逆に掘り過ぎている場合は土を戻して踏み固めましょう。

暗渠排水の縦穴を横溝を掘り終えるとこんな感じになります。穴を掘るのは重労働なので、体力と相談して無理がない範囲で進めてください。

ところで、穴を掘ると大量の土や石・瓦礫などのガラが出てきますよね。石やガラはよほど大きいもの以外は、このあと暗渠排水の疎水材として埋め戻してしまえばOKなんですが、土の処理が問題となります。

暗渠排水DIYでは、掘った穴にコルゲート管や砕石などの疎水材を入れてから土で埋め戻すので、コルゲート管や疎水材分の体積の土が余ることになります。また、庭の土が粘土質で水はけが悪い土の場合は、暗渠排水を埋め戻すのにも適していないので、埋め戻すための真砂土などを別で用意した上で粘土質の土は全て廃棄することになります。

しかし、土というのは多くの自治体において家庭用ごみとして回収してくれないので、別の処理方法を考えなければなりません。なるべくお金をかけずに不要な土を処分したいという方は、無料で土を処分する方法を以下の記事にまとめてありますのであわせてご覧ください。

4. 砕石を敷いてコルゲート管を入れる

穴を掘り終わったら、縦穴と横溝の底に砕石を薄く敷きます。底の土が見えなくなる程度の量でOKです。

砕石は、ホームセンターで袋詰めで売られているコンクリート用のバラス・砕石・砂利などを使います。大量に使用する場合は建材業者から直接購入しても良いですね。

粒径5mm以下の小さい砂利ではなく、できれば粒径10~20mmぐらいの大きめの砕石にしましょう。

砕石を敷いたら、その上にコルゲート管を乗せて設置します。縦穴に挿し込むコルゲート管は、地表から10cm程度はみ出すぐらいの長さにカットしてから入れます。横溝に寝かせて入れるコルゲート管は、必要な長さに応じてカットします。

私はコルゲート管をカットするときはプラスチック用の糸のこぎりを使用しています。コルゲート管は結構固いので、カットするときにケガをしないよう十分注意してください。

コルゲート管の長さが足りない場合や、T字やY字にコルゲート管を組み合わせて設置する場合は、専用の継ぎ手を使用して複数のコルゲート管を接続します。

また、横溝のコルゲート管の端っこにはキャップをはめ込み、管の中に土などが入り込まないようにしておきましょう。縦穴に入れるコルゲート管のキャップは不要です。

継ぎ手やキャップが必要なところは計画段階で確認しておき、あらかじめ必要数を購入しておきましょう。

継ぎ手やキャップはコルゲート管の直径(Φ)に適したものが必要なので、サイズを間違わないように注意しましょう。

5. コルゲート管を砕石や剪定枝などで埋め戻す

設置したコルゲート管の周囲は、疎水材という水はけの良い素材で埋め戻します。庭に穴を掘ったときに出てきた石やガラがあれば、このとき一緒に埋め戻してしまいましょう。

疎水材の量は、少なくともコルゲート管が完全に隠れるぐらいは必要です。なるべく多く入れた方が排水性は高くなります。

庭に設置する暗渠排水の疎水材には砕石を使用するのが一般的ですが、畑や造園の暗渠排水では竹・剪定枝・籾殻などの有機物で埋め戻すこともあります。

砕石で埋め戻す利点は、地中で変化(劣化)しないので排水能力が長期間保たれることです。周囲から土砂が入り込まないように、透水シートや不織布で砕石とコルゲート管を包み込むように施工する方法もあります。

竹・剪定枝・籾殻などの有機物で埋め戻す利点は、農家や造園関係者であれば素材の入手が容易であること、これらの有機物は地中で緩やかに分解されるので土中環境の改善に役立つことです。

どちらが良いかは、暗渠排水に期待する効果(排水性を高めたいだけなのか植物が育ちやすいようにしたいのか)や、素材を入手できるかどうかにもよりますので、自分に合ったやり方を選んでください。

6. 砂または真砂土で表面排水を調整する

疎水材を入れたら、最後に土で埋め戻します。

使用する土は、穴を掘ったときに出てきた庭土を再利用しても構いませんが、水はけの悪い粘土質の土の場合はおすすめしません。

折角の暗渠排水が効果を発揮するためにも、砂や真砂土などの水はけの良い土を別で用意すると良いでしょう。

可能であれば最終排出先に向かって表面排水するように水勾配をつけて埋め戻すと、暗渠排水だけの場合よりも格段に水はけが良くなります。庭の構造上難しい場合は、地表がフラットになるように埋め戻してもOKです。

なお、暗渠排水で掘った横溝の上の土に芝生などのグラウンドカバーを植えたい場合は、少なくとも土の部分が10cm以上(できれば15cm以上)あるように埋め戻します。土の部分が少ないと芝生の根っこが成長するスペースがなく、水不足にも陥りやすいので注意しましょう。

まとめ

暗渠排水で庭の水たまりを解消するためのまとめです。

  1. 庭の水たまりを解消するための計画で最も重要なことは、
    最終的な水の出口となる排水先を考えること
  2. 水の出口となる排水先を決めてから、
    その次に排水方法(排水ルート)を考える
  3. DIY計画を立てるときは庭をよく観察してみよう
  4. 暗渠排水DIYを成功させるコツは、
    DIYを始める前に計画をしっかり立てておくこと
  5. 暗渠排水の最も重要なポイントは、
    最終排出先に向かってスムーズに水が流れるように横溝を掘ること
  6. 最終排水先に縦穴暗渠または雨水浸透枡を使う場合は、
    必ず地下の透水層まで穴を掘って水の流れを確保する

暗渠排水は庭の水はけを改善するために役立つ方法ですが、正しく機能させるためには上記のポイントを守ることが大切です。穴を掘るのは大変な作業ですから、無駄にならないようにしっかり計画を立ててから進めるようにしましょう。

暗渠排水DIYに必要な材料や、どれぐらいの費用がかかるのかについては、私の実例を以下の記事にまとめていますので是非あわせてご覧ください。



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