「家も買ったことだし、庭が余っててもったいないから、家庭菜園でもやってみようかなあ」と考えているあなたには、サツマイモとタマネギのループ栽培をおすすめします。
サツマイモとタマネギのループ栽培とは、「サツマイモ植える→サツマイモ収穫→タマネギ植える→タマネギ収穫」と交互に育てることを毎年繰り返す栽培方法です。
私が家庭菜園初心者にサツマイモとタマネギをおすすめする理由は8つあります。
- 育てる場所さえあれば土質を選ばず育つ
- 植えてから収穫まで手をかけなくても育つ
- 害虫被害が少ない(虫で全滅することはまずない)
- 苗から育てても元が取れる(コスパが良い)
- 収穫作業を子どもと楽しめる
- 収穫したあと長期保存しやすい
- 色んな料理に使いやすい野菜
- 子どもにも人気がある野菜
サツマイモとタマネギは家庭菜園の定番であり、初めて家庭菜園をやってみようという方や、過去に家庭菜園に挑戦したけど挫折してしまったという方にこそ育ててほしい野菜です。
家庭菜園では育てる野菜の種類によっては元を取るのが難しいこともありますが、サツマイモとタマネギはコスパが良いので、苗から育てても簡単に元が取れます。最近は色んな物の値段が上がっていて家計も大変なので、サツマイモやタマネギが庭で取れたらありがたいですよね。
もちろん、自然が相手ですので失敗する可能性は0ではありませんが、サツマイモとタマネギは非常に育てやすい野菜です。しっかり準備をしてから苗を植えれば、ほとんど放置していてもちゃんと育って収穫できるということも珍しくありません。
今回はわが家でのサツマイモとタマネギの育て方を具体的に紹介しますので、サツマイモとタマネギのループ栽培に興味のある方は是非最後までご覧ください!
サツマイモの育て方
サツマイモの植え付け時期は5月~6月、収穫時期は10月頃が目安です。
サツマイモを植える準備
まず、サツマイモの苗を買いに行く前に、家庭菜園でサツマイモを植える場所の準備をしましょう。
今まで家庭菜園をしていなかった場所で初めてサツマイモを育てる場合は、地面を深さ15cm以上耕して雑草や石を取り除き、ホームセンターで売っている園芸用培養土や腐葉土などを混ぜ込んで土作りをしてください。また、最初のときだけ化成肥料か有機肥料を規定量(肥料のパッケージに記載されている量)入れても良いと思います。
参考までに以下の記事でわが家の土作りの様子を紹介していますので、土作りについて知りたい方はあわせてご覧ください。
サツマイモを育てるときは肥料は少なめにするのがポイントです。サツマイモに肥料を与えすぎると、「つるぼけ」と言ってつるばかり育って肝心の芋が育たないということになりがちだからです。
前作にタマネギなどの作物を育てている場合、土に前作を育てていたときの肥料が残っているので、サツマイモを植えるときには肥料を入れる必要はないです。痩せた土地でも育つのがサツマイモの特徴です。
土作りが終わったら、サツマイモを育てるための畝(うね)を立てていきます。
サツマイモは水はけが良い環境を好むので、土を高めに盛って高畝(たかうね)にします。
サツマイモを手抜き栽培するコツは、黒マルチを張ることです。
最初に黒マルチを張る手間はかかりますが、栽培期間中の水やりと草抜きをほぼやらなくてもよくなるので、家庭菜園でサツマイモを育てるなら黒マルチを張った方が確実に楽です。
サツマイモは畝幅60cmぐらいで育てるので、黒マルチは幅95cmのタイプが良いでしょう。
黒マルチを少量だけ欲しい場合は、百均で購入するのも良いと思います。ただ、黒マルチは家庭菜園をやるなら使用頻度が高い資材なので、今後のことも考えると50mぐらいのものをまとめて買っておいた方がコスパは良いのでおすすめです。
サツマイモの苗をホームセンターで買ってくる
サツマイモを植える畝の準備ができたら、ホームセンターにサツマイモの苗を買いに行きましょう。
サツマイモの苗は、蔓(つる)を切った状態で販売されています。
5月頃になるとホームセンターでサツマイモの苗が売り出されます。6月に入るとサツマイモの苗の入荷が終わってしまうところもあるので、なるべく5月中には苗を確保しておきたいところです。
家庭菜園1㎡あたり必要なサツマイモの苗の本数の目安は6本~7本です。
(長さ1.6m~2m×畝幅50cm~60cmの畝を立てるとした場合の目安)
サツマイモの苗を買う際の注意点ですが、サツマイモの苗は店頭で日持ちしないので、ホームセンターも確実に売れる分しか入荷しません。
サツマイモの苗を確実に購入するためには、ホームセンターで事前に苗を予約しておくか、ホームセンターの店員さんに苗の入荷予定日を聞いておいてその日に買いに行くことをおすすめします。
なお、ホームセンターに行くと、サツマイモの苗にも種類がいっぱいあって迷うかもしれませんが、基本的に品種は好みで選んで構いません。参考までに私が今までに育てたことがあるサツマイモは以下の通りです。
品種 | おすすめ度 | 苗の安さ | 育てやすさ | 芋の甘さ | 食感 |
---|---|---|---|---|---|
紅はるか | ★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ | ねっとり系 |
鳴門金時 | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★ | ほくほく系 |
紅あずま | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★ | ほくほく系 |
安納芋 | ★ | ★ | ★ | ★★★ | ねっとり系 |
私が好きな品種は「紅はるか」、次点で「鳴門金時」がおすすめです。どちらも育てやすくて美味しいですよ。
スーパーで売っていないような珍しい品種を育ててみたい場合は、ネットで苗を購入するのも良いと思います。
買ってきたサツマイモの苗をすぐに植えられない場合は、水を少し張ったバケツに苗を立てて入れておくと、1週間程度は問題なく保管できます。サツマイモの苗を保管するときは、風通しの良い日陰に置いておき、バケツの水は毎日交換してください。
サツマイモの苗を植える
畝と苗の準備が整ったら、早速植えていきましょう。
サツマイモの苗を植えるのは簡単です。黒マルチに穴を開けて、そこにサツマイモの苗を斜めに挿し込むだけです。
苗と苗の間隔(株間といいます)は30cmぐらい、苗の先端は3~4節(15cmぐらい)土に埋めるようにします。
苗の先端を埋めたら、土をギュッと押さえて密着させます。これにより苗が根付きやすくなります。
全ての苗を植え終わったら、たっぷりと水やりをして植え付け完了です。
その後、順調にいけば1週間程度もすれば苗が根付きます。万全を期すのであれば、苗が根付くまでの間だけは乾燥しないように水やりをしてやると安心です(適度に雨が降れば水やり不要)。
苗を植えてから1ヶ月もすると、上の画像のようにサツマイモの蔓と葉っぱがもりもり茂っているはずです。こうなってしまえばあとは収穫まで放置しておいてもOKですよ。
サツマイモの葉っぱは芋虫やバッタに食べられると思いますが、よっぽどでない限りは放っておいて構いません。
サツマイモを掘る
サツマイモは苗を植えてから120日~150日経つころが収穫の目安時期です。
120日以上経ったら苗を1つ試し掘りしてみて、上手く育っていれば他の苗も掘ると良いでしょう。
まだ小さいようであればもう少し様子を見ましょう。
サツマイモを掘るのは、晴れていて土が湿っていない日にしましょう。前日や当日に雨が降っており土が湿っていると、芋の乾燥が不十分で長期保存がしにくくなるので注意してください。
サツマイモの苗を掘る手順は、まず地上の蔓を根元で全て切り落とし、続いて黒マルチを剥がしてください。あとはスコップなどでサツマイモを掘るだけです。
子どもがいるご家庭では、是非お子さん一緒に芋掘りを楽しんでください。心行くまで芋掘りができるのは、家庭菜園でサツマイモを育てる醍醐味です。友達を呼んで芋掘りパーティーをすると、とっても盛り上がりますよ。
掘ったサツマイモはそのまま天日干しにして乾燥させた後、土をつけたまま風通しの良い日陰で保管します。
サツマイモは掘ってすぐ食べても美味しくないので、1ヶ月以上寝かせてから食べるといいですよ。
ほぼ放置栽培でも食べきれないぐらいのサツマイモが収穫できました。
そういうときは、サツマイモは保存が効くのでおすそ分けするのにも便利です。
サツマイモは放置栽培でも収穫できて、味も市販のものと遜色ないので家庭菜園初心者にもおすすめです。
もう一手間かけるなら【サツマイモのつる返し】
サツマイモは放置栽培でも育ちますが、もう一手間かけて「つる返し」という作業をすると、より大きて美味しい芋が収穫できます。
つる返しとは、サツマイモのつるを定期的にひっくり返して、つるから出た根を切ってやる作業のことです。つる返しをすることにより養分が本体の芋に集中して大きくなるので、気が向いたときだけでもやっておくと良いです。
ちなみに、畝だけでなく畝の周囲や畝間の通路にも黒マルチを張っておくと、つる返しの手間も減ります。場合によっては、ほぼつる返しの必要もなくなるので、もっと楽に育てたいという方は試してみてください。
タマネギの育て方
タマネギの植え付け時期は11月頃、収穫時期は5~6月が目安です。
タマネギを植える準備
まず、タマネギの苗を買いに行く前に、家庭菜園でタマネギを植える場所の準備をしましょう。
今まで家庭菜園をしていなかった場所で初めてタマネギを育てる場合は、地面を深さ15cm以上耕して雑草や石を取り除き、ホームセンターで売っている園芸用培養土や腐葉土などを混ぜ込んで土作りをしてください。
参考までに以下の記事でわが家の土作りの様子を紹介していますので、土作りについて知りたい方はあわせてご覧ください。
タマネギを育てるときは土作りの段階で化成肥料か有機肥料を元肥(もとごえ)として入れるのがポイントです。土の上から肥料を振りかけるのではなく、土全体に混ぜ込む(すき込む)ようにします。
元肥として入れる肥料の量は、最初は規定量(肥料のパッケージに記載されている量)を入れます。家庭菜園を続けている内に土が肥沃になってきたり、経験を積んで野菜の生育具合から肥料の効き具合を判断できるようになったら、肥料の量を自分で調整してみてください。
土作りが終わったら、タマネギを育てるための畝(うね)を立てていきます。
タマネギを手抜き栽培するコツは、タマネギ用の穴あき黒マルチを張ることです。
最初に黒マルチを張る手間はかかりますが、栽培期間中の草抜きの手間が大幅に減り、寒さ対策にもなるので家庭菜園でタマネギを育てるなら黒マルチを張った方が確実に楽です。タマネギ用の穴あき黒マルチは最初から15cm間隔で穴が開いており、初心者でも簡単にタマネギを育てることができます。
タマネギを育てるときの畝幅は、使用する黒マルチの幅に合わせて決めます。幅95cmの黒マルチを使う場合は畝幅60~70cm、幅135cmの黒マルチを使う場合は畝幅100~110cmを目安にしましょう。
黒マルチは家庭菜園をやるなら使用頻度が高い資材なので、今後のことも考えると50mぐらいのものをまとめて買っておいた方がコスパは良いのでおすすめです。
タマネギの苗をホームセンターで買ってくる
タマネギを植える畝の準備ができたら、ホームセンターにタマネギの苗を買いに行きましょう。
タマネギは種から育てるよりも苗から育てる方が圧倒的に簡単で楽なので、初心者はホームセンターでタマネギの苗を買ってきて育てるのがおすすめです。
10月頃になるとホームセンターでタマネギの苗が売り出されます。11月中旬以降はタマネギの苗の入荷が終わってしまうところもあるので、なるべく11月上旬までには苗を確保しておきたいところです。
家庭菜園1㎡あたり必要なタマネギの苗の本数の目安は約40本です。
タマネギの苗は50本単位で販売されていることが多いので、苗が余ってしまう場合は畝の周囲の空いたスペースに植えるか、プランターなどで育てると無駄なく有効活用できます。
タマネギの苗を買う際の注意点ですが、タマネギの苗は店頭で日持ちしないので、ホームセンターも確実に売れる分しか入荷しません。タマネギの苗は人気が高いので、ふらっとホームセンターに行っても売り切れているか、萎びた売れ残りの苗しか残っていないことも珍しくありません。
タマネギの苗を確実に購入するためには、ホームセンターで事前に苗を予約しておくか、ホームセンターの店員さんに苗の入荷予定日を聞いておいてその日に買いに行くことをおすすめします。
買ってきたタマネギの苗をすぐに植えられない場合は、水を少し張ったバケツに苗を立てて入れておくと、1週間程度は問題なく保管できます。バケツは風通しの良い日陰に置き、水は毎日交換してください。1週間より長く保管したい場合は、プランターか家庭菜園の空いているスペースに仮植えすることをおすすめします。
早生?晩生?タマネギの品種の選び方
初心者におすすめするタマネギは早生(わせ)の品種です。
タマネギの品種には早生(わせ)・中生(なかて)・晩生(おくて)などがあり、早生は早く収穫できるが保存性は悪い、晩生は収穫まで時間がかかるが保存性は良いという特徴があります。
極早生(ごくわせ)や超極早生(ちょうごくわせ)は早生よりさらに早いもの、中晩成(なかおくて)は中生と晩生の間ぐらい、という意味です。
早生のタマネギをおすすめする理由は、生育期間が短くて初心者でも育てやすく、梅雨前に収穫できるのでサツマイモと交互に栽培するのに向いているからです。
早生のタマネギの苗が手に入らない場合は、中生のタマネギでも大丈夫ですが、晩生のタマネギはなるべく避けた方が良いと思います。また、極早生や超極早生も良いですが、保存が効かないので食べきれる量かどうか注意してください。
私はタマネギの早生品種の中でも「ソニック」がお気に入りです。育てやすい・美味しい・あるていど保存も効く(うちでは夏までに消費してます)のでおすすめですよ。
タマネギの苗を植える
畝と苗の準備が整ったら、早速植えていきましょう。
タマネギ用の穴あき黒マルチを使っていれば、1つの穴に1本の苗を植えていくだけなので簡単です。穴があいていない通常の黒マルチを使っている場合は、マルチに15cm間隔で穴を開けて植えましょう。
タマネギの苗を植えるときのコツは2つあります。
1つめのコツは、苗の根っこを2~3cm残して切ってから植えること。根っこが長すぎると植えにくいですが、切ってから植えると植えやすくなります。タマネギはすぐ新しい根っこが伸びてくるので、苗の根っこは切っても問題ありません。
2つめのコツは、深植えせず浅めに植えること。具体的には、苗の白い部分が半分ぐらい埋まるように植えましょう。
全ての穴に苗を植えたら、マルチの上から水をやって完了です。
タマネギは涼しい時期に植え付けすることもあり、今後はよほど乾燥しない限りは水やりする必要はありません。
植えた直後は苗がぐたっと倒れていますが、1~2週間もすれば苗が根付いて立ち上がってきます。
また、防寒対策として植穴を籾殻(もみ殻)や籾殻燻炭でマルチングするのも有効です。これは必須ではないのでそのままでも構いません。
あとは翌年の春まで放置していてもタマネギは収穫できますが、まだ玉が十分に育っていないのに葉っぱが茶色く枯れてしまった場合は、タマネギが病気にかかっている可能性があるので見つけたら抜き取って処分してください。
タマネギを収穫する
タマネギの収穫時期は、玉が十分に大きくなり、葉が倒れてから枯れる前までが目安です。
早生品種の場合は4月下旬~5月中旬が目安ですが、実際には収穫時期や天候によってタマネギの生育具合が異なるので、玉や葉の状態を見て判断することをおすすめします。
家庭菜園の場合は、4月から5月上旬ごろはそのときに食べる分だけを新タマネギとして随時収穫して、5月中旬ごろに全体の8割以上の葉が倒れたら全て収穫して保存するのがおすすめです。土が乾いていて、さらに2日~3日は雨が降らないタイミングでの収穫がベストです。
保存性を考えると梅雨入りまでにタマネギを収穫したいのと、次にサツマイモを植えることを考えると、遅くとも5月中にはタマネギを収穫してください。
掘ったタマネギは、1日~3日ほど天日干しにしたあと、紐で縛って風通しの良い日陰につるしておくと長期保存できます。中生品種は秋以降までもちますが、早生品種は夏までには食べきるようにしましょう。
もう一手間かけるなら【追肥と草抜き】
タマネギは植え付けから収穫まで放置していても育ちますが、もう一手間かけて追肥と草抜きをすれば、より大きいタマネギが収穫できるようになります。
追肥とはタマネギの生育期間中に追加で肥料をあたえることです。具体的には、タマネギの株元(植穴)に肥料をパラパラとまくだけです。追肥をするタイミングは12月と2月がおすすめです。
また、マルチを張ってあるとはいえ雑草を完全に防げるわけではありません。春になると植穴から雑草が生えてくるので、気が向いたときに抜いてやると良いでしょう。
まとめ
私が家庭菜園初心者にサツマイモとタマネギをおすすめする理由は8つあります。
- 育てる場所さえあれば土質を選ばず育つ
- 植えてから収穫まで手をかけなくても育つ
- 害虫被害が少ない(虫で全滅することはまずない)
- 苗から育てても元が取れる(コスパが良い)
- 収穫作業を子どもと楽しめる
- 収穫したあと長期保存しやすい
- 色んな料理に使いやすい野菜
- 子どもにも人気がある野菜
家の庭でも育てやすくてコスパも良い野菜なので、初めて家庭菜園をやってみようという方や、過去に家庭菜園に挑戦したけど挫折してしまったという方にもおすすめです。
手間をかけずにサツマイモやタマネギを育てるためには、植え付けする前に最低限は土作りをして、畝を立てて黒マルチを張っておくことが重要です。特に黒マルチがあるのとないのとでは、その後の手間が全然違いますので、面倒に感じるかもしれませんが黒マルチを張ることをおすすめします。
家庭菜園に慣れてきて、「もっと大きくて美味しいサツマイモ・タマネギを作りたい」と思ったら、土作りや肥料の与え方、草抜きや天地返しなどにも挑戦してみましょう。
家庭菜園の面積が広い場合や、土作りや畝立ての作業をもっと楽にしたいという場合は、家庭用の電動耕運機を使うことをおすすめします。わが家で使っている電動耕運機については以下の記事で詳しくレビューしていますので、家庭用の耕運機に興味のある方はあわせてご覧ください。
以上、参考になれば幸いです。