この記事では、ホームセンターで売られているセメント用の砂を実際に芝生の目砂として使ってみた感想をお伝えしていきます。セメント用の砂を芝生の目砂として使えるのか知りたいという方は必見ですよ。
芝生の目土・目砂はどれを使えばいいのかという問題、いわゆる「目砂どれがいいのか問題」にお悩みの芝生オーナーは多いのではないでしょうか?インターネットで検索するとこういう答えが返ってくることがあります。
どんな砂を使っても芝生は育ちますよ
もし、芝生の目砂にどんな砂を使ってもいいのだとしたら、少しでも安い砂のほうがありがたいですよね。身近に手に入る安い砂といえば、ホームセンターで売られているセメント用の砂があります。
セメント用またはコンクリート用の砂とは、ホームセンターで建材用(左官用または工事用を含む)の砂として袋詰めで売られている砂のことです。単純に「ホームセンターの砂」と呼ばれることもあります。店舗によって若干の差はありますが、砂10~12ℓで200円前後で販売されていることが多いものです。
それでは、本当にホームセンターの砂を芝生の目砂に使っても大丈夫なのでしょうか?
実際に使ってみた私の経験から言うと、どんな砂を目砂に使っても芝生は育ちますが、砂の種類によっては色んな問題が発生することがあるので注意が必要です。
というわけで、今回はホームセンターの砂とはそもそもどういう砂なのか、芝生の目砂に使うことでどのような問題が発生するのかをレポートしていきます!
この記事内において、特に注釈なく“ホームセンターの砂”と表記されているものは、「ホームセンターで販売されている建材用(左官用または工事用を含む)の砂」のことを指します。ホームセンターで販売されている園芸用の砂のことではありませんのでご注意ください。
ホームセンターの砂の中身
ホームセンターの砂の種類は?
砂の種類って何?と思われるかもしれませんが、砂には「川砂」「山砂」「海砂」などの種類があります。砂を採取した場所によって分類されており、それぞれ性質が異なります。
それでは、ホームセンターの砂の種類は何なのかというと、お住まいの地域やホームセンターのブランドによって異なるので注意が必要です。
例えば、関西地方のコーナンの砂は「山砂」ですが、関東地方のコーナンの砂は「川砂」が販売されているようです。建材用の砂は近郊で産出されるものを使用していると思われるので、同じホームセンターであっても地域によって砂の種類が異なる場合があります。
また、同じ関西地方であっても、コーナンの砂は「山砂」ですがコメリの砂は「川砂」です。このように、ホームセンターのブランドによっても砂の種類が異なる場合があります。
(参考:コーナンPRO e-shop、KOMERI.COM)
園芸用の砂と何が違うの?
ホームセンターなどで市販されている砂には、建材用(左官用または工事用を含む)の砂の他に、園芸用として販売されている砂もあります。
園芸用として販売されている砂は、砂の種類としては「川砂」または「山砂」などですので、砂そのものは建材用の砂と大きくは変わりません。それでは建材用の砂と園芸用の砂の何が違うのかというと、植物を育てるのに適した砂に調整するために洗浄や選別(ふるいかけ)などの処理を行っているかどうかという違いがあります。
建材用の砂は、あくまでも建材として使用するためのものなので、植物を育てるということは想定していません。つまり、使用目的が根本的に違うので、それによって砂の加工方法が違うということになります。
ホームセンターの砂を芝生の目砂として使うメリット
値段が安い
ホームセンターの砂を使う唯一にして最大のメリットは値段が安いことです。
具体的にどれぐらい安いのか、芝生面積50㎡の全面に目砂を撒くものとして計算してみましょう。
芝生に目砂をまく場合、目砂の厚みは大体1~3mm程度が目安です。仮に目砂を厚さ2mmで撒くとしたら、必要な砂の量は100ℓ(0.1㎥)です。コーナンの砂は1袋あたり約18kg≒10ℓなので、砂10袋が必要になります。
ホームセンターの砂は1袋あたり約200円です。一方、市販されている芝生用の目砂の値段は、ピンキリですが安いもので300円~500円程度なので、10袋あたりで言えば1,000円~3,000円の費用節約になります。
決して小さい金額ではないですので、なるべく費用を抑えて芝生を管理したいという人にとっては、ホームセンターの砂は魅力的な選択肢の一つとなり得るのではないでしょうか。
芝生の面積が広くて大量の砂が必要な場合は、建材業者から砂を直接買い付けする方が安くすむ場合があります。もし、一度に1t以上の砂を購入するのであれば、近所の建材業者に相談してみてはいかがでしょうか。
ホームセンターの砂を芝生の目砂として使うデメリット
そもそも植物を育てるために調整された砂ではない
前述した通り、ホームセンターの砂は建材用の砂であって、園芸用の砂ではありません。
実際、私がいくつかのホームセンターに「建材用の砂で芝生を育てても問題はないかどうか」を問い合わせたところ、「建材用の砂は植物を育てるための砂ではない(ので問題がないかどうか保証できない)」という趣旨の回答でした。つまり建材用の砂を芝生に使うのは完全に自己責任ということです。
園芸用の砂は、植物を育てるのに適した砂にするために調整されています。物によっても違いますが、砂を洗浄してシルトを取り除くことで水はけをよくしたり、加熱乾燥処理によって雑草の種子や病原菌を殺菌しているものなどがあります。
建材用の砂は、園芸用の砂のような処理を行っていないため、水はけが悪かったり雑草の種子や病原菌が混入している可能性があり、芝生に想定外のトラブルが生じることがあるということは覚悟しておきましょう。
砂についての情報がほとんどわからない
ホームセンターの砂は、パッケージを見ても砂についての情報はほとんど記載されていません。パッケージを見ただけでは砂の種類すらわからないということがよくあります。
実際、私がよく砂を買うコーナンやコメリの砂は情報がほとんど記載されていませんでした。店員さんに聞いてもわからないことが多いので、ホームページから問い合わせてはじめて「コーナンの砂は山砂」「コメリの砂は川砂」ということがわかったぐらいです。
このように、砂についての情報がほとんどわからないため、どのような特性を持っているのか判断しにくいのです。また、ホームセンターの砂は、お住まいの地域やホームセンターのブランドによって中身が異なるため、ホームセンターの砂を芝生に使っても問題がないかどうかは一概には言えません。物を見て判断する必要があるので上級者向けと言えるかもしれませんね。
シルトや粗砂が多く粒径が揃っていない
ホームセンターの砂には、シルト(沈泥)や粗砂が多く含まれていることがあり、粒径は揃っておらずバラバラです。
シルト(沈泥)とは粒径0.074㎜~0.005㎜の非常に目の細かい土のことです。砂は粒径が大きいほど水はけがよくなりますので、砂の中にシルトが多く含まれていると水はけが悪くなってしまいます。
それでは、芝生を育てるのに適した砂の粒径はどれぐらいなのでしょうか。例えば、日本のゴルフ場でも広く普及している「USGA方式」ではゴルフ場のグリーンの床土(芝生の地面)に用いる砂は、粒径0.25㎜~1.0㎜の砂が全体の60%以上を占めていることが基準になっています。
つまり、砂は粒径が細かすぎても粗すぎてもよくないということですが、ホームセンターの砂は非常に粒子の細かいシルトや粒径2~3㎜以上の粗砂が多く含まれているため、そのまま芝生の目砂として使うのに最適ではありません。
ホームセンターの砂を芝生の目砂として使ってみた感想
実際にホームセンターの砂を芝生の目砂として使ってみた感想ですが、残念ながら個人的にはホームセンターの砂を芝生の目砂として使うことはおすすめしません。
芝生に目砂を入れて手入れしようという方は、手間をかけてでも芝生を綺麗にしたいと考えている人ですよね。そもそも芝生に手間をかけたくない人や、綺麗な芝生じゃなくてもいいという人は芝生に目砂を入れようと思わないはずなので。
芝生を綺麗にするために目砂を入れるのに、砂の品質が悪いことによって水はけが悪くなったり、病気の原因になってしまっては、芝生に悪影響を与えることになり本末転倒です。しかも、砂を一旦入れてしまうと後から取り除くことは困難ですし、病気になった芝生を回復させるのには時間も費用(殺菌剤の使用など)もかかってしまいます。
もしホームセンターの砂を芝生の目砂として使うのであれば、少なくとも自分で洗浄(シルトの除去)やふるいかけ(粗砂の除去)はやったほうが良いと思います。
しかし、砂の洗浄やふるいかけを行うのは結構な手間がかかりますし、洗浄後に砂を乾燥させるための時間もかかります。それであれば、最初からそれなりの品質が担保されている砂を使用する方が安全でコスパも良いというのが私の結論です。砂の洗浄(洗い)については別記事に詳しくまとめましたので、詳しく知りたいという方は是非あわせてご覧ください。
園芸用の川砂や富士砂(富士山の火山砂礫)などはホームセンターでも販売されていますが、品質はピンキリですのでよくわからない場合はネットで評判の良い砂を購入するのも良いでしょう。
また、価格は高いですが高品質な目砂/目土にこだわりたいという方は、品質に定評のあるバロネスの焼砂/目土がおすすめです。
まとめ
ホームセンターの砂を芝生の目砂として使ってみた感想のまとめです。
- ホームセンターの砂の中身は川砂や山砂などだが、
詳しくはお住まいの地域やホームセンターによって違う - ホームセンターの砂は園芸用の砂ではないので、
植物を育てるのに適した砂にするための処理は行われていない - ホームセンターの砂にはシルトや粗砂が多く含まれており、
そのまま芝生の目砂として使うのに最適な砂ではない - ホームセンターの砂を目砂に使っても芝生は育つが、
水はけが悪くなったり、病気の原因になる可能性がある - ホームセンターの砂を目砂に使うのであれば、
砂の洗浄やふるいかけをしてから使うことをおすすめする - 手間やリスクを避けたいのであれば、
園芸用の砂や芝生専用の目砂を使った方が良い
以上、参考になれば幸いです。