家庭菜園の太陽熱消毒に失敗した理由と対策について

今年8月に家庭菜園の夏野菜を片付けた後、秋冬野菜の植え付け前に太陽熱消毒をはじめました。

しかし、恥ずかしながら今回行った太陽熱消毒は大失敗してしまったのです。

今回の記事では、太陽熱消毒に失敗してしまった理由と失敗しないための方法、失敗してしまったときはどうすればいいのかなどについてまとめました。

太陽熱消毒に失敗したくないという人は是非最後まで読んでみてください。

太陽熱消毒って何?どうやってするの?という人は、前回の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

目次

太陽熱消毒と雑草堆肥を使った土壌改良の結果

太陽熱消毒をはじめてから4週間が経過しました。

結果はどうなったのでしょうか?

透明マルチの中の土は、常に湿った状態になっていました。

畝の側面の部分では雑草が発芽しており、藻のようなものが発生しています。

透明マルチを剥がしてみたところの写真です。

藻のようなものが発生した理由は不明ですが、地表面に少し発生しているだけだったので鍬でこそぎ取っておきました。

これはそんなに大きな問題ではないと思います。

一方、土壌酸度計でpHを測ってみると、pH5.0前後(酸性)になっていることがわかりました。

この畝では、ほうれん草を育てる予定ですが、ほうれん草は酸性土壌を嫌う性質がありpH6.5~7.0前後が好適とされている作物です。

このままでは、ほうれん草を育てることができないので、太陽熱消毒が終わったばかりですが苦土石灰(くどせっかい:pHをアルカリ性に調整する資材)をすき込むことにしました。

ここで使用した土壌酸度計は、土壌酸度(pH)を測定するための器具です。野菜の種類によって最適なpHの値というのは決まっており、多少ならともかく大きくpHの値がズレていると野菜が全然育たないということもありますので、家庭菜園を本格的にやるのであれば土壌酸度計は必須です。

土壌酸度計もピンキリで色んな種類のものが売られていますが、安すぎる製品の中にはブレ幅が大きかったりまともに計測できないものもあります。私はシンワ測定の土壌酸度計を使っていますが、計測が安定しているので気に入っています。Amazonの口コミも好意的なものが多いので、土壌酸度計を持っていない方にはこれをおすすめします。

さて、苦土石灰をすき込むために地面を耕し、太陽熱消毒により土の中の状態がどうなったか確認してみました。

太陽熱消毒をはじめるときに入れた雑草堆肥は、大半は分解されて土になっていましたが、中には分解されずに残っているものも一部ありました。

・剪定で出た小枝(大きい枝は入れていません)
・ウバメガシの葉っぱ(常緑樹の硬い葉)
・苔

これらの有機物は分解されずに残っている傾向にありました。量はそこまで多くなかったので、目立つものだけ取り除くことにしました。

以上が太陽熱消毒と雑草堆肥を使った土壌改良の結果です。

実際にやってみた感想としては、土はふかふかになっており土壌改良の効果はあったように思いますが、太陽熱消毒としては失敗だったと言わざるをえません。

太陽熱消毒が終わってから地面を耕すと、消毒された地表近くの土と消毒されていない地中深くの土が混ざることにより、消毒効果は薄れてしまいます。そのため、太陽熱消毒が終わったらすぐに次の作物の植え付けができるように、あらかじめ堆肥・石灰・肥料をすき込んで畝を立ててから太陽熱消毒をはじめるのです。

それでは今回は何が失敗だったのか、失敗しない方法や、失敗してしまったときのリカバリー方法などを順番に解説していきます。

太陽熱消毒の失敗ポイントその1:pH調整に失敗した

失敗ポイントその1は、pH調整に失敗したことです。

太陽熱消毒が終わってから地面を耕すと、消毒された地表近くの土と消毒されていない地中深くの土が混ざることにより、消毒効果は薄れてしまいます。

そのため、太陽熱消毒をはじめる前に土壌のpHを測り、あらかじめ石灰をすき込んでpH調整を済ませてから太陽熱消毒をはじめるのです。

しかし、今回はpH調整に失敗したことから、太陽熱消毒が終わってから石灰を追加ですき込まざるを得ませんでした。これにより地面を耕すことになり、太陽熱消毒の効果が薄れてしまったという失敗です。

pH調整に失敗した理由

pH調整に失敗した理由は、太陽熱消毒をはじめる前にすき込んだ石灰の量が少なかったこと、土壌改良のために大量投入した雑草堆肥の酸度を考慮していなかったことなどが考えられます。

今回、太陽熱消毒をはじめる前に土壌酸度計を使ってpH測定を行ったところ、pH5.5とやや酸性寄りだったので有機石灰と籾殻燻炭(アルカリ性資材)を土にすき込んでから太陽熱消毒をスタートしました。

1つ目の理由として考えられるのは、石灰の量をなんとなく感覚的に決めていたので、結果的には石灰の量が少なかった可能性があります。石灰の種類についても有機石灰より苦土石灰にした方が良かったのかもしれません。

2つ目の理由として考えられるのは、土壌改良のために大量投入した雑草堆肥の影響です。雑草堆肥は庭で自作したものであり、pHの調整などは一切行っていないため、土壌が酸性に傾いた一因になったのかもしれません。

pH調整に失敗しない方法

今回の経験から考えられるpH調整に失敗しない方法は以下の2つです。

1つ目の方法は、pHをアルカリ性寄りに調整したいときは、苦土石灰をちゃんと規定量を測って入れることです。

やはりpHをアルカリ性寄りに調整したいときは有機石灰ではなく苦土石灰を使用したほうが良いでしょう。

量についても慣れてくると目分量や感覚で作業しがちですが、基本を忘れないようにすることが大切ですね。

2つ目の方法は、自作した雑草堆肥や未熟な有機物を一度に大量投入しないことです。

自作した雑草堆肥を使うのはエコで便利な土壌改良方法ですが、市販品のように品質が一定ではなくバラつきがあり、一度に大量投入すると想定外の悪影響を及ぼす可能性があります。必ず悪影響が出るというよりも、どのような影響が出るか想定しにくいということです。

そのため、様子を見ながら少しずつ使用する方が無難だと思います。一度に大量投入したいときは、品質が安定している市販の腐葉土などを使うことをおすすめします。

pH調整に失敗したときの対策

それでは、太陽熱消毒が終わってから、pH調整を失敗したことに気付いた場合はどうすれば良いのでしょうか?

この場合の対策は2つの方法が考えられます。

1つ目の方法は、苦土石灰を追加で投入してpHを再調整してから作物を植え付けることです。

苦土石灰を使うときは地表に撒くだけではなく、土中に混和する(すき込む・耕す)必要があります。

本来は太陽熱消毒が終わったあとに土を耕してはいけませんが、pHが育てたい作物に合っていない場合は最悪枯れてしまう可能性もあるので、消毒効果が薄れることになっても苦土石灰をすき込んだ方が良い場合が多いでしょう。

2つ目の方法は、育てる作物を現在のpHに適した作物に変更することです。

例えば土壌のpHが5.5と酸性寄りになっている場合、酸性土壌を嫌うエンドウ豆やほうれん草を育てるのには適していませんが、酸性寄りを好むジャガイモやトウモロコシであればむしろ適していることになります。

この例でいえば、ほうれん草を育てるつもりだったけどpHが合わないので、ジャガイモに変更すれば問題ないということです。

作物を植え付ける季節や作付け計画にもよりますが、もしタイミングが合うのであれば、育てる作物を土壌のpHに合わせて変更するのも有効な対策になりますよ。

太陽熱消毒の失敗ポイントその2:雑草堆肥が十分に分解されなかった

失敗ポイントその2は、雑草堆肥が十分に分解されず、未熟な有機物が一部そのまま残っていたことです。

一般的に、分解されていない未熟な有機物が多く含まれている土は作物を育てるのに適していません。

今回は太陽熱消毒の期間中に雑草堆肥が十分に分解されるだろうと考えていたのですが、実際には分解されていない有機物がかなり残っていたという失敗です。

雑草堆肥が十分に分解されなかった理由

雑草堆肥が十分に分解されなかった理由は、分解されにくい有機物を投入していたためだと考えられます。

普段から雑草堆肥と呼んではいますが、実際には雑草だけではなく剪定枝葉(太い枝は除く)や家庭菜園の残渣など庭から出る有機物は大抵なんでも投入して作っているものです。

そのため、今回使用した雑草堆肥の中に、分解に時間がかかる(分解されにくい)有機物が含まれていたのです。

雑草堆肥を使った土壌改良に失敗しない方法

今回、分解されずに残っていた主な有機物には以下のものがありました。

  • 剪定で出た小枝(大きい枝は入れていません)
  • ウバメガシの葉っぱ(常緑樹の硬い葉)

このような分解に時間がかかる(分解されにくい)有機物は投入しない方が良いでしょう。

もし色んな有機物が混ざりあっていて分別するのが難しい場合は、有機物が完全に分解される(完熟になる)まで待ってから使用するか、品質が安定している市販の腐葉土などを使うことを検討しましょう。

雑草堆肥が十分に分解されなかったときの対策

今回は苦土石灰をすき込むために土を耕したので、土中に分解されていない有機物が残っていることにたまたま気付きましたが、通常は太陽熱消毒が終わってから再度耕すことはしないので気付かないことが多いでしょう。

気付かないことにはどうしようもありませんので、やはり最初から分解に時間がかかる有機物は投入しないようにするのが一番良いと思います。

もし、土中に分解されていない有機物が残っていることに気付いたら、対策としては大きいものだけでも良いので取り除くことをおすすめします。全て取り除く必要はありません。

太陽熱消毒が終わってから地面を耕すとどうなるのか

今回は、苦土石灰を追加で投入してpHを再調整してからほうれん草を植え付けることにしたので、畑に苦土石灰を撒いてから鍬で耕していきます。

苦土石灰の量は、商品袋に記載されている規定量をちゃんと測ってから撒きました。

太陽熱消毒をする前と比べて土はふかふかになっており、雑草堆肥をすき込んだことによる土壌改良効果を感じます。

苦土石灰の混和ができたら、ほうれん草の種を撒き、発芽するまで乾燥しないように不織布をかぶせておきます。

~ 種撒きから10日後 ~

ほうれん草の種は無事に発芽し、今のところ順調に育っています。

pHを計測してみたところ、pH6.0~6.5になっていたので概ね問題の無い範囲です。

結論としては、ほうれん草を育てるのであれば苦土石灰を追加して正解だったと思います。

しかし、太陽熱消毒後に地面を耕したことで雑草対策の効果が薄れてしまったので、ほうれん草といっしょに雑草も生えてきてしまいました。

透明マルチを外してから雑草の種が飛んできた可能性もなくはないですが、今回は種まきをしてから直ぐに不織布をかぶせていることを考えると、土の中に残っていた雑草の種が発芽した可能性が高いと思います。

このように、今回の経験からは、太陽熱消毒後に地面を耕すと消毒効果が薄れるということがわかりました。

絶対に耕してはダメということではなく、消毒後に耕す必要性と消毒効果が薄れることを天秤にかけて判断することをおすすめします。

まとめ

家庭菜園の太陽熱消毒に失敗した理由と対策についてのまとめです。

  1. 太陽熱消毒(太陽熱土壌消毒)を成功させるポイントは、消毒が終わったら耕さずにそのまま次の作物を植え付けること
  2. 次の作物にあわせた土壌のpH調整は、太陽熱消毒をする前に済ませておくことが重要
  3. 土壌のpH調整に失敗した場合は、太陽熱消毒が終わってから次の作物を植え付ける前に石灰を追加して耕すこと
  4. 太陽熱消毒と同時に雑草堆肥を使って土壌改良をする場合は、剪定枝・太い残渣・苔など分解されにくいものは使わない方が良い
  5. あまりにも未分解の有機物が多い場合は、太陽熱消毒する期間を延ばす(分解されるまでそのままおいておく)か、地面を耕して大きな有機物を取り除いてから次の作物を植え付けよう

太陽熱消毒が終わってから地面を耕すと、消毒された地表近くの土と消毒されていない地中深くの土が混ざることにより、消毒効果は薄れてしまいます。

そのため、過去に病気が発生した土壌を消毒したい場合などは注意が必要ですが、雑草や害虫の対策として太陽熱消毒を行っていたのであれば、耕して消毒効果が多少薄れたからといって次の作物に大きな影響を与えることは少ないでしょう。過度に不安になる必要もないので、是非みなさんも挑戦してみてください。

また、今回紹介した失敗ポイントは、失敗した理由さえわかっていれば対策は難しくありません。家庭菜園で太陽熱消毒をやってみようと考えている人に参考にしてもらえれば幸いです。



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