芝生の病害対策@初心者向け殺菌剤の使い方

今回は、今まで殺菌剤を使ったことがないという初心者の方向けに、芝生に使えるおすすめ殺菌剤の紹介や殺菌剤の使い方を解説していきます。

芝生に病害の症状が出て困っているけれど、どうすればいいのかわからない、または殺菌剤の使い方がわからないという方は多いのではないでしょうか。

病害による芝生の枯れ
カーブラリア葉枯病と推測される症状

梅雨や秋の長雨の時期は、適度な高温とジメジメした湿気により、高麗芝やTM9などの日本芝にとっては病害が発生しやすい時期ですよね。病害が発生してしまった場合、放っておくと被害がどんどん拡大する可能性もありますので、発見したらなるべく早く殺菌剤を散布することが望ましいです。

しかし、芝生に使用する殺菌剤は農薬の一種ですので、今までそういった農薬を使用したことがない人にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。殺菌剤等の農薬は、間違った使い方をすれば芝生や環境に悪影響を及ぼすだけではなく、自身や周囲の人々の健康を害する可能性もあります。

しかし、正しい使い方をすれば安全なものであり、過度に恐れる必要はありません。なぜなら、そもそも農薬というのは農薬取締法にもとづいて、人に対する安全性や環境への影響調査など様々な試験を実施した上で登録を受けているからです。

とはいえ、今まで殺菌剤を使ったことがないという初心者の方が不安を感じるのは当然のことです。そこで、この記事では殺菌剤を使うのが初めてという方でもわかりやすいように、殺菌剤を使うための準備や使い方を具体的に解説していきます。

芝生の病害に悩まされている方は、是非この記事を最後まで読んで、殺菌剤の使用にトライしてみてください。

この記事は殺菌剤の一般的な使い方について解説したものです。殺菌剤などの農薬や各種器具を使用する際は、それぞれの取扱説明書等をよく読んだ上で、必ずその内容に従って使用してください。

目次

芝生用の殺菌剤を使う前に必要な準備

殺菌剤を使うために必要なもの

殺菌剤を使う前に必要な薬剤や器具を確認して、足りないものがあれば購入しておきましょう。

  • 殺菌剤
  • 展着剤
  • スプレイヤー(またはジョウロや噴霧器)
  • キッチンスケール
  • バケツ
  • 計量カップ
  • 計量スプーン
  • シリンジ
  • 手袋・長靴・マスクなど

殺菌剤は指定された倍率で希釈(水で薄める)をして薬液を作ってから、スプレイヤーまたはジョウロや噴霧器などの器具を使用して芝生に散布します。スプレイヤーとは薬液や液体肥料を散布するための器具のことで、ホースに装着することによってホースシャワーから薬液や液肥を直接散布することができる便利なものです。

うちの庭の芝生は20坪弱(約65㎡)ぐらいあるので、ジョウロで薬液や液体肥料をまくのはかなり大変です。芝生の面積が広い方は、スプレイヤーを使用するとものすごく楽になりますよ。一度使ったら手放せなくなります。

こちらのスプレイヤーAQUA+は2千円台とお手頃価格が嬉しいのですが、液体肥料散布用の製品です。薬液散布に使うのは自己責任になりますのでご注意ください。薬剤にも使用できて高性能なスプレイヤーを求める方は、スイス BIRCHMEIER社製のアクアミックスという製品が人気なようです。


キッチンスケール・バケツ・計量カップ・計量スプーン・シリンジなどの計量器具は、殺菌剤や展着剤を計量して薬液を作るときに使用します。これらはよく洗って使用すれば、殺菌剤専用のものを用意しなくても、肥料・殺虫剤等を使用するときのものと兼用しても構いません。

ただし、台所で使用する器具を殺菌剤等の農薬に使うのは厳禁ですので、もし屋外用の計量器具を持っていない方はこの機会に購入するようにしてください。また、除草剤を使う場合は専用の器具を用意した方が良いでしょう。

高価なものである必要はありませんので、百円ショップやホームセンターで販売されているもので十分です。おすすめのキッチンスケールについては以下の記事で詳しく解説しています。

また、殺菌剤を使用するときは農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用し、薬剤の説明書(特に安全使用上の注意)に記載されている内容に従って作業しましょう。

おすすめの殺菌剤

殺菌剤は農薬の一種であり、薬剤毎に使用できる作物や適用病害(効果がある病害)が定められています。適用外の農薬使用は法律で禁じられていますので、殺菌剤を選ぶ際は必ず芝生に適用があるものの中から、症状が出ているまたは予防したい病害に効果があるものを選んでください。

とはいっても、初めての方はどれを選べば良いのかわからないと思いますので、日本芝(高麗芝やTM9等)に使用できるおすすめの殺菌剤を紹介します。西洋芝の場合は適用が異なる場合がありますのでご注意ください。

ラリー水和剤

適用病害:カーブラリア葉枯病、さび病

『ラリー水和剤は、予防効果に加え治療効果が高く、病原菌の侵入後の散布でも菌糸の伸長を阻害し、病斑の進展を防ぎます。速やかに植物体内に浸透し隣接した部位にも移行するので、撒きむらによる発病を防ぎ、耐雨性にも優れるため安定した効果が得られます。』
(引用:コルテバ・アグリサイエンスWEBサイト

カーブラリア葉枯病と思われる症状が既に出ているときにおすすめです。

なお、カーブラリア葉枯病の原因菌であるカーブラリア菌はヘルミントスポリウム属菌の一種であり、日本芝が感染するヘルミントスポリウム葉枯病の代表的なものがカーブラリア葉枯病です。

ロブラール水和剤

適用病害:ヘルミントスポリウム葉枯病葉腐病(ブラウンパッチ・ラージパッチ)

『野菜・果樹のアルタナリア属菌、ボトリチス属菌、スクレロチニア属菌、モニリア属菌やヘルミントスポリウム属菌、カーブラリア属菌などによる重要病害に卓効を示します。本剤は持続効果が長く、早めの防除で的確な予防効果を発揮します。』
(引用:バイエルクロップサイエンス株式会社WEBサイト

ヘルミントスポリウム葉枯病(カーブラリア葉枯病など)またはブラウンパッチ・ラージパッチの感染が疑われるときや、これらの病気を予防したいときにおすすめです。

ホームセンターで販売されている芝生に使える殺菌剤は少ないのですが、ラリー水和剤やロブラール水和剤はホームセンターでも販売されていることが比較的多いものです。また、容量も比較的少ないので最初に買うものとしては取っつきやすいですね(ネット専売の殺菌剤は大容量で値段も高いことが多いです)。

ただし、全てのホームセンターで販売されているというわけではありませんので、焦って店舗を回っても無駄足になる可能性もあります。今すぐに殺菌剤を使いたいけど手持ちがないときは近所のホームセンターに問い合わせてみてください。ちなみにうちの近所のホームセンターでは取り扱っていませんでした。

ですが、Amazonで購入すれば確実ですし早ければ翌日には届きます。価格もAmazonの方が安いことが多いので、どうしても翌日まで待てないという場合以外はネットで購入することをおすすめします。

なお、同じ殺菌剤を連続使用すると薬剤に耐性をもつ菌ができてしまうので、複数の殺菌剤をローテーションして使用するようにしましょう。

おすすめの展着剤

展着剤は殺菌剤等の薬液に加えて使うことによって、付着性や浸透性等を高める効果があるものです。殺菌剤に展着剤を加えることで、殺菌剤の効果が安定することが期待されます。

展着剤そのものに殺菌や殺虫の効果はありませんが、なかには使用できる作物や薬剤が限定されている展着剤もありますので、購入する前に適用や注意書きを必ず確認しましょう。今回は私が使用した展着剤を紹介します。

アプローチBI

機能性展着剤

『農薬が作用をおよぼす部分に薬液をすばやく、的確に到達させ、薬効を安定させます。とくに付着性、浸透性にすぐれていますので、効果にムラがなくなります。』
(引用:丸和バイオケミカル株式会社WEBサイト

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殺菌剤の散布には噴霧器を使用するべきか?

庭木や野菜に殺菌剤を散布するときには噴霧器を使用するのが一般的ですが、芝生に殺菌剤を散布するときには必ずしも噴霧器を使用する必要はなく、ジョウロやスプレイヤーを使用しても問題はありません

ジョウロやスプレイヤーを使用するメリットは、(元から噴霧器を持っている方を除いて)わざわざ噴霧器を購入する必要がないこと、散布にかかる時間が短くすむことです。芝生に散布するときは地面に向けて散布する形になるので、ジョウロやスプレイヤーを使用して散布するのも簡単です。

噴霧器を使用するメリットは、薬液を細かい霧状で散布することにより芝生の葉への付着性が高いこと、葉の裏なども含めて万遍なく散布ができることです。ジョウロやスプレイヤーを使用すると、水滴が大きいため薬液が芝生の葉から流れ落ちてしまったり、薬液の撒きムラが生じる可能性が噴霧器より高くなることは否めません。

私の考えとしては、初めて芝生に殺菌剤を使用する方や、たまにしか薬剤を使用しないという方は、ジョウロやスプレイヤーでも十分だと思っています。私も実際にスプレイヤーを使用して殺菌剤を散布しています。薬剤の使用にも慣れてきて、より完璧な管理を求めたくなったら、噴霧器の導入を検討するのもいいかもしれませんね。

芝生用の殺菌剤「ラリー水和剤」の使い方

準備が整ったら殺菌剤を散布しましょう。

例として、日本芝(TM9)のカーブラリア葉枯病を狙ってラリー水和剤を散布する方法を解説します。

展着剤アプローチBIを添加して使用します。散布に使用する器具はスプレイヤー(AQUA+)とします。

1. 散布液量と殺菌剤・展着剤の必要量を計算する

まずはじめに、使用する散布液(薬液)と殺菌剤の必要量を計算します。

計算にあたって、散布対象となる芝生の面積をあらかじめ把握しておきましょう。原則として、殺菌剤を使用するときは病害が出ている場所をピンポイントで狙うのではなく、庭の芝生全面に散布することをおすすめします。今回は芝生の面積70㎡として計算します。

続いて、希釈倍数や散布液量は、殺菌剤・展着剤の説明書(適用表情報)に書かれているので確認しましょう。

<殺菌剤(ラリー水和剤)の適用病害と使用方法>(※一部抜粋)

作物名適用病害虫希釈倍数散布液量
日本芝カーブラリア葉枯病1500~2000倍1L/㎡
日本芝カーブラリア葉枯病1500倍0.25L/㎡

ラリー水和剤の使用方法を見ると、適用:カーブラリア葉枯病の説明が2つあります。使い分ける基準が不明ですが、今回は既に病害の症状が出ていることもあり、散布液量1L/㎡で散布することにします。

希釈倍数1500~2000倍のように幅がある場合、噴霧器やジョウロを使う場合は、幅の中で任意の倍数を選んでください。スプレイヤーを使う場合は、スプレイヤーの構造上どうしても希釈率に誤差が生じる可能性があるため、幅の中央=1750倍にすることをおすすめします。

なお、希釈倍数1750倍というのは、水1750ml(1750g)に対して薬剤1gを入れて散布液を作るという意味です。

<展着剤(アプローチBI)の適用表情報>(※一部抜粋)

適用農薬名作物使用量
殺虫剤、殺菌剤稲、麦類、果樹類、野菜類、花き類、茶、芝 等10ml/散布液10L

展着剤の使用量は、使用する農薬や作物の種類によって異なる場合があるので、説明書(適用表情報)で必ず確認しておきましょう。


さて、芝生の面積、希釈倍数、散布液量がわかったら実際に計算してみましょう。

<計算例>
・芝生の面積:70㎡
・殺菌剤の希釈倍数:1500~2000倍(1750倍で計算)
・散布液量:1L/㎡
・展着剤の使用量:10ml/散布液10L

散布液の必要量:1L/㎡×70㎡=70L(70kg)
殺菌剤の必要量:散布液70kg÷1750倍=40g
展着剤の必要量:散布液70L×10ml/散布液10L=70ml


<スプレイヤーを使用する場合の例>
今回使用するスプレイヤー(AQUA+)はボトルに入れた溶液を100倍希釈で散布できるものです(※流量が1分あたり10Lの場合)。つまり、希釈倍数1750倍で散布したい場合は、あらかじめ17.5倍に一次希釈した溶液をボトルに入れる必要があります(1750÷100=17.5)。

殺菌剤40g×希釈倍数17.5倍=一次希釈液量700mlとなりますが、スプレイヤー(AQUA+)の付属ボトル容量は500mlなので一度に全ての一次希釈液を入れることはできません。そのため、半分量350mlの一次希釈液を作り、2回に分けて散布することになります。

【一次希釈液の作り方】 ※2回に分けて一次希釈液を作る場合は各半分量とする
一次希釈液の必要量:700ml
殺菌剤の必要量:40g
展着剤の必要量:70ml
水の必要量:590ml(700ml-40g-70ml)

薬液を作るときのポイントは、薬剤(殺菌剤・展着剤)と水の合計が散布液(または一次希釈液)の量になるようにすることです。

今回の例で言うと、水700mlに薬剤を加えて一次希釈液を作るのではなく、水と薬剤の合計が一次希釈液の必要量700mlになるようにしてください。

液量を考えると、バケツではなく大きめの計量カップを使用して作ると良いでしょう。

2. 計量カップに水を入れる

計算が終わったら、計量カップで一次希釈液を作ります。

殺菌剤の薬液を作る場合は、水→展着剤→殺菌剤の順番で溶かし入れるのが基本です。

最初に計量カップに水295mlを入れましょう。

薬剤の種類によっては溶かし入れる順番や手法の指定があることがあります。その場合は注意書きに記載されている順番や手法に従って作業を進めてください。

3. 計量カップに展着剤を追加する

次に、展着剤アプローチBIを35ml計量し、計量カップに追加してかき混ぜます。

展着剤を計量するときは計量スプーンを使用します。少量の場合はシリンジなどを使用しても良いでしょう。

4. 計量カップに殺菌剤を追加する

最後に、殺菌剤ラリー水和剤を20g計量し、計量カップに追加してかき混ぜます。

殺菌剤を計量するときはキッチンスケールを使用します。

ラリー水和剤は粉状の薬剤なので、作業するときに薬剤が飛び散らないように注意します。また、溶液にムラができないようによく溶かし混ぜてください。

5. 一次希釈液をスプレイヤーのボトルに移してセットする

一次希釈液ができたら、スプレイヤーのボトルに移してからスプレイヤーにセットします。

ホース⇔スプレイヤー、スプレイヤー⇔ボトルの接続にゆるみがないかどうかしっかり確認しましょう。

6. スプレイヤーを使って散布する

スプレイヤーのセットが終わったら、いよいよ殺菌剤を散布します。

希釈倍数17.5倍の一次希釈液を100倍で散布しますので、スプレイヤーからは希釈倍数1750倍の散布液が散布されることになります。散布量1L/㎡を目安に散布していきましょう。スプレイヤーが空になったら、工程2に戻って作業をもう一度繰り返します(今回の例では作業2セットで終了)。

スプレイヤーを使って散布するときのコツですが、初めて散布するときは1L/㎡がどれぐらいの量なのかわかりにくいかもしれないので、水を使ってあらかじめ確認・練習しておいたほうが良いと思います。

また、今回の例では作業2セットで庭の芝生全面に散布するので、スプレイヤーが空になるまでに庭の芝生半分に散布することを目安に散布していくと良いでしょう。

芝生用の殺菌剤「ロブラール水和剤」の使い方

もう1つ例として、日本芝(TM9)のカーブラリア葉枯病とラージパッチを狙ってロブラール水和剤を散布する方法を解説します。

展着剤アプローチBIを添加して使用します。散布に使用する器具はスプレイヤー(AQUA+)とします。

1. 散布液量と殺菌剤・展着剤の必要量を計算する

まずはじめに、使用する散布液(薬液)と殺菌剤の必要量を計算します。

計算にあたって、散布対象となる芝生の面積をあらかじめ把握しておきましょう。原則として、殺菌剤を使用するときは病害が出ている場所をピンポイントで狙うのではなく、庭の芝生全面に散布することをおすすめします。今回は芝生の面積70㎡として計算します。

続いて、希釈倍数や散布液量は、殺菌剤・展着剤の説明書(適用表情報)に書かれているので確認しましょう。

<殺菌剤(ロブラール水和剤)の適用病害と使用方法>(※一部抜粋)

作物名適用病害虫希釈倍数散布液量
ヘルミントスポリウム葉枯病1000~1500倍1L/㎡
葉腐病(ブラウンパッチ)1000~1500倍1L/㎡
日本芝葉腐病(ラージパッチ)1000~1500倍1L/㎡

カーブラリア葉枯病は、ヘルミントスポリウム葉枯病の一種なので、同じようなものと考えてOKです。

今回はヘルミントスポリウム葉枯病とラージパッチを狙って殺菌剤を使うわけですが、2つの病害を狙うからといって殺菌剤を2倍使用する必要はありません。規定量の散布液量1L/㎡を散布してください。

希釈倍数1000~1500倍のように幅がある場合、噴霧器やジョウロを使う場合は、幅の中で任意の倍数を選んでください。スプレイヤーを使う場合は、スプレイヤーの構造上どうしても希釈率に誤差が生じる可能性があるため、幅の中央=1250倍にすることをおすすめします。

今回は薬剤の使い切りを考慮して、希釈倍数1400倍で使用することにしました(理由は後述します)。

なお、希釈倍数1400倍というのは、水1400ml(1400g)に対して薬剤1gを入れて散布液を作るという意味です。

<展着剤(アプローチBI)の適用表情報>(※一部抜粋)

適用農薬名作物使用量
殺虫剤、殺菌剤稲、麦類、果樹類、野菜類、花き類、茶、芝 等10ml/散布液10L

展着剤の使用量は、使用する農薬や作物の種類によって異なる場合があるので、説明書(適用表情報)で必ず確認しておきましょう。


さて、芝生の面積、希釈倍数、散布液量がわかったら実際に計算してみましょう。

<計算例>
・芝生の面積:70㎡
・殺菌剤の希釈倍数:1000~1500倍(1400倍で計算)
・散布液量:1L/㎡
・展着剤の使用量:10ml/散布液10L

散布液の必要量:1L/㎡×70㎡=70L(70kg)
殺菌剤の必要量:散布液70kg÷1400倍=50g
展着剤の必要量:散布液70L×10ml/散布液10L=70ml

ロブラール水和剤は100g入りなので、2回の使用でちょうど使い切れるように、希釈倍数1400倍=使用量50gになるよう調整しました。指定の希釈倍率1000~1500倍の範囲であれば、任意の倍数を選んでOKです。


<スプレイヤーを使用する場合の例>
今回使用するスプレイヤー(AQUA+)はボトルに入れた溶液を100倍希釈で散布できるものです(※流量が1分あたり10Lの場合)。つまり、希釈倍数1400倍で散布したい場合は、あらかじめ14倍に一次希釈した溶液をボトルに入れる必要があります(1400÷100=14)。

殺菌剤50g×希釈倍数14倍=一次希釈液量700mlとなりますが、スプレイヤー(AQUA+)の付属ボトル容量は500mlなので一度に全ての一次希釈液を入れることはできません。

今回は最初に一次希釈液700mlを作り、スプレイヤーのボトルに入れるのを2回に分けて散布することにします。

【一次希釈液の作り方】
一次希釈液の必要量:700ml
殺菌剤の必要量:50g
展着剤の必要量:70ml
水の必要量:580ml(700ml-50g-70ml)

薬液を作るときのポイントは、薬剤(殺菌剤・展着剤)と水の合計が散布液(または一次希釈液)の量になるようにすることです。

今回の例で言うと、水700mlに薬剤を加えて一次希釈液を作るのではなく、水と薬剤の合計が一次希釈液の必要量700mlになるようにしてください。

液量を考えると、バケツではなく大きめの計量カップを使用して作ると良いでしょう。

2. 計量カップに殺菌剤を入れる

計算が終わったら、計量カップで一次希釈液を作ります。

ロブラール水和剤は、薬液の作り方(手順)が指定されているので、その通りの方法で薬液を作りましょう。

<殺菌剤(ロブラール水和剤)の使用上の注意>(※一部抜粋)
本剤の所定量に少量の水を加えて糊状にねり、のち所要量の水を加え、十分かきまぜて散布液を調製して下さい。

つまり、ロブラール水和剤の薬液は、殺菌剤→水→展着剤の順番で溶かし入れて作ります。

というわけで、まず最初にロブラール水和剤を50g測ります。

今回は1Lの容量がある計量カップを使って、一発で700mlの一次希釈液を作ります。

殺菌剤を測るときはキッチンスケールを使いましょう。

一般的に、殺菌剤の薬液を作る場合は、水→展着剤→殺菌剤の順番に溶かし入れて作ります。
ただし、ロブラール水和剤のように溶かし入れる順番や作り方の指定がある薬剤は、注意書きに記載されている順番や手法に従って作業を進めてください。

3. 計量カップに少量の水を加えて糊状にねる

殺菌剤を測り終わったら、殺菌剤が入った計量カップに水を少しずつ加えていきます。

水を入れるときは、最初に水の必要量580mlを計量しておき、そこから少しずつ水を加えていってください。

そうすることにより、いくら水を入れたかわからなくなるということを防げます。

殺菌剤に少量の水を加えて糊状にねるときのポイントがいくつかあります。

  • 水はやさしく入れること → 勢いよく入れると粉が舞い散ります
  • 水は少しずつ何回かに分けて入れること → 一度にたくさん入れると綺麗に混ぜにくいです
  • 粉のかたまりが残らないようにゆっくり何回も混ぜること

今回は混ぜるときにアイスクリームのスプーンを使いましたが、計量スプーンや割りばしなどを使っても良いでしょう。

この工程の目的は、殺菌剤の粉を均一に溶かし、溶け残りやムラを防ぐことだと思うので、ある程度混ざったら追加の水を入れていきます。

4. 計量カップに残りの水を加える

ロブラール水和剤に少量の水を加えて糊状にねったら、そのまま計量カップに残りの水を加えて薬液を作ります。

最初に計量しておいた水の必要量580mlの残りを全て加えてかき混ぜましょう。

一度、糊状にねったことにより、粉剤に直接水を加えるより溶けやすくはなっていますが、念のために溶液にムラができないようによく溶かし混ぜてください。

5. 計量カップに展着剤を追加する

最後に、展着剤アプローチBIを70ml計量し、計量カップに追加してかき混ぜれば一次希釈液の完成です。

完成した一次希釈液を使ってスプレイヤーで散布する工程は、ラリー水和剤のときと同じです。

詳しいやり方については、ラリー水和剤の使い方の解説をご参照ください。

まとめ

芝生の病害対策@初心者向け殺菌剤の使い方のまとめです。

  1. 殺菌剤を使用するときは、取扱説明書(注意書き)をよく読んだ上で、必ずその内容に従って作業する
  2. 殺菌剤は必ず芝生に適用があるものの中から、症状が出ているまたは予防したい病害に効果があるものを選ぶ
  3. 殺菌剤には展着剤を加えて使用する
  4. 殺菌剤を散布するときはジョウロやスプレイヤーを使用しても良い
  5. 殺菌剤は複数の種類をローテーションして使用する

殺菌剤等の農薬は、間違った使い方をすれば芝生や環境に悪影響を及ぼすだけではなく、自身や周囲の人々の健康を害する可能性もあります。しかし、正しい使い方をすれば安全なものであり、過度に恐れる必要はありません。

正しく使えば殺菌剤は芝生管理の強い味方になってくれますので、取扱説明書(注意書き)をよく読んだ上で、必ずその内容に従って作業するようにしましょう。

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