珪砂5号を芝生の目砂として使ってみた感想

この記事では、ホームセンターで売られている『珪砂5号』を実際に芝生の目砂として使ってみた感想をお伝えしていきます。『珪砂5号』を芝生の目砂として使えるのか知りたいという方は必見ですよ。

芝生の目土・目砂はどれを使えばいいのかという問題、いわゆる「目砂どれがいいのか問題」にお悩みの芝生オーナーは多いのではないでしょうか?私も「目砂どれがいいのか問題」に悩まされている一人ですが、インターネットで検索すると大体こんな感じの答えが返ってきます。

どんな砂を使っても芝生は育ちますよ

バロネスの目砂(焼砂)を選べば間違いないよ

うん、それは確かにそうなんだけど、今求めてる答えはそういう0か100かみたいな極論じゃないんです。「いつでも簡単に入手できて、値段が高過ぎず、芝生が元気に育つコスパの良い目砂はどれなのか」を知りたいわけです。

なんでそういう答えが直ぐに出てこないかというと、お住まいの地域における入手性、芝生にどれだけお金をかけられるかという価値観、それぞれの庭の土壌環境の違いによって最適解が異なるからです。つまり、残念ながら「万人にとってコスパ最強の目砂はコレ」という結論は出ないので、実際の口コミ情報レポートを数多く見て、そこから自分に合ったものを試してみるしかないと思います。

というわけで、今回はホームセンターで売られている『珪砂5号』についてレポートしていきます!

目次

珪砂5号の特徴と選び方

珪砂とは

珪砂(けいしゃ)とは、主に石英粒からなる砂の一種です。

珪砂には天然珪砂と人工珪砂があります。天然珪砂は花崗岩が風化したものを地層や砂浜から採取したもので、人工珪砂は素材となる珪石を粉砕したものです。

「珪砂○号」の○号は粒度区分といって、砂の粒径(粒の大きさ)によって区分されており、数字が大きくなるほど粒度が細かくなります。

ホームセンターでは、珪砂は建材・セメントの骨材として販売されています。園芸コーナーではなく建材・セメントの骨材の売り場を探してみてください。店頭で販売されているのは珪砂5号が多いですが、大型店では珪砂6号・7号を取り扱っていることもあります。

珪砂の粒度区分(何号)の見方

日本産業規格(JIS)における「鋳型用けい砂」の粒度区分は以下の表の通りです。

粒度区分けい砂の質量が最も大きいふるいの公称目開き
4号850㎛
4.5号600㎛
5号425㎛
5.5号300㎛
6号212㎛
6.5号150㎛
7号106㎛
7.5号75㎛

単位の㎛はマイクロメートルといって、1㎜=1,000㎛になります。

上の表の見方ですが、例えば粒度区分5号(珪砂5号)であれば粒径425㎛(0.425㎜)~600㎛(0.600㎜)の砂が中心になっていることを表しています。また、粒度区分5号の前後1区分(粒度区分4.5号~5.5号)までの間に全体質量の70%以上が収まるように調整されています。

つまり、珪砂は表記の号数によって砂の粒径が定められており、普通の砂よりも粒径が揃っているのが特徴です。

珪砂は何号を選べばいいのか

結論から言うと、一般家庭の高麗芝やTM9で珪砂を使用するならば「珪砂5号」が良いと思います。

突然ですが、みなさんは「USGA」というものをご存知でしょうか?

「USGA」とは「United States Golf Association」すなわち全米ゴルフ協会の略称です。このUSGAの一部門であるグリーンセクションが推奨しているグリーンの構造のことをUSGA方式と呼び、日本のゴルフ場でも広く普及しているものです。

USGA方式ではゴルフ場のグリーンの床土(芝生の地面)に用いる砂は、粒径250㎛(0.25㎜)~1,000㎛(1.0㎜)の砂が全体の60%以上を占めていることが基準になっています。これを珪砂に当てはめると、芝生の床土に使用する場合は珪砂5号が適していることになります。

それでは床土ではなく目砂として使用する場合はどうなのでしょうか。ゴルフ場のグリーンでも実際に使用されているバロネスの目砂(焼砂)は、WEBサイト上で公開されている粒度分布表によると粒径150㎛(0.15㎜)~212㎛(0.212㎜)が最も多くなっていますので、珪砂6.5号相当の砂であることがわかります。

バロネスの目砂(焼砂)はWEBサイト上で『グリーン用の目砂に適しており(グリーンで使用するために適した粒度分布)、密度が高い芝目に良く馴染みます。』と紹介されていますので、ゴルフ場のグリーンのような高密度芝に入りやすくするために粒径が非常に小さい砂を採用しているものと思われます。

(参考:バロネスダイレクトWEBサイト(https://www.baroness-direct.com/fs/baroness/ts-mesunaz))

しかし、これらはプロが毎日整備しているゴルフ場のグリーンを基準にしたものですので、一般家庭の庭ではそこまで完璧な土壌改良や高密度の芝生を作ることは難しいのではないでしょうか。庭を全面30cm以上掘り返して芝生の床土を作って毎日整備している人は極めて稀なので、一般家庭の庭はゴルフ場のグリーンに比べると水はけが悪く芝生の密度も低いことが普通です。

一方、砂は粒径が大きいほど水はけがよくなる性質がありますので、一般家庭の芝生で使用する場合はゴルフ場より粒径が大きい砂を使用しても問題ありません。以上より、目砂として珪砂を使用するのであれば珪砂6号・7号よりも「珪砂5号」が良いでしょう。床土として使用する場合は、珪砂より安価で粒径が大きい川砂などで十分ではないでしょうか。

珪砂5号はホームセンターで購入できる

私が今回使用したのはホームセンターのコメリで購入した『珪砂5号』です。

トーヨーマテラン 珪砂5号 25kg

ネット販売価格(税込)1,380円 ※2022年5月執筆時

店頭販売価格(税込)828円 ※2022年3月購入時

コメリドットコムの商品ページでは「天然珪砂で安定した粒度」と記載されています。

「敷きレンガの目地砂・左官用・インターロッキングなど建材分野広くにご使用頂けます」とも記載されていることから建材用の商品であり、ホームセンターで購入する珪砂としては一般的な商品ではないでしょうか。

製造元であるトーヨーマテランのWEBサイトでは、「トーヨーマテランの珪砂は、瀬戸市をはじめとした東海地区の鉱山から採掘された原鉱を水洗、乾燥、分級したものです。」「高温で加熱しているため、除菌されたような状態になっております。」と紹介されています。コメリで販売されている珪砂が同じ物かどうかはわかりませんので参考まで。

(参考:トーヨーマテラン株式会社WEBサイト(https://matelan.co.jp/material/silica-sand/))

なお、珪砂を購入する場合、基本的にはホームセンター店頭での購入をおすすめします。

ネット通販で砂を購入すると送料分だけ割高になるので、わざわざ建材用の珪砂を選ぶメリットがないからです。送料がかかってもいいからネット通販で砂を購入するということであれば、実店舗で入手しにくい芝生専用の砂(それこそバロネスの焼砂など)を購入することをおすすめします。

珪砂5号を芝生の目砂として使うメリット

それでは、珪砂5号を芝生の目砂として実際に使ってみて感じたメリットを紹介していきます。

乾燥していてサラサラの砂なので扱いやすい

珪砂5号の最大のメリットは、乾燥していてサラサラの砂なので、目砂として撒くときに便利なことです。

ホームセンターで販売されているセメント用の砂や川砂は湿った状態で袋詰めされているものが多いですが、珪砂は乾燥した状態で袋詰めされています。芝生専用の目砂は商品によって湿っている砂と乾燥した砂の両方があります。

湿っている目砂は芝生の葉っぱや茎に引っかかりやすいというデメリットがあり、ブラシなどを使って芝生に目砂を刷り込む必要があります。一方、乾燥した目砂は引っかかりにくいので扱いやすく作業がスムーズです。

このメリットを一番感じるのは、芝生をコアリングした穴に目砂を入れるときです。特に一つずつ穴に目砂を入れていく場合は、乾燥した目砂を使わないと非常に効率が悪いと感じました。

湿った砂を使う場合は一度天日干しにするなどして乾燥させてから使うという方法もありますが、時間もかかるし結構手間がかかります。最初から乾燥した砂を使えば手間と時間を節約できるので便利だと感じました。

砂の粒が細かくて粒径が揃っている

ホームセンターで販売されているセメント用の砂や川砂と比べて、珪砂5号は砂の粒が細かく粒径が揃っているというメリットがあります。

これは、珪砂は表記の号数によって砂の粒径が定められており、普通の砂よりも粒径が揃っている特徴によるものです。

一方、安価な砂の場合は粒径が揃っておらず、数㎜以上の小石(礫)が結構な割合で混ざっていることがあります。

床土として土に混ぜ込むのならばそれでも大きな問題はありませんが、目砂として使用する砂に小石が混ざっていると芝生への馴染みが悪かったり、芝刈り機を使用したときに小石を噛んでしまうデメリットがあります。

珪砂の場合はそういうデメリットが無いので安心して使用することができました。

多くのホームセンターで購入できる

珪砂5号は多くのホームセンターの店頭で販売されているので、容易に入手することができます。もし近所のホームセンターに在庫が無い場合でも、店に相談すれば他店から取り寄せてもらうことも可能だと思います。

インターネットで「このメーカーのこの砂がおすすめ」という情報を見つけたとしても、ホームセンターのブランドや地域性によって品揃えは大きく異なるので、自分の近くにある店では入手が難しいということがよくあります。

かといって、ネット通販で土や砂を購入すると送料が高くつくので、結局のところ近くのホームセンターや建材店で販売されている土や砂の中から選ばざるを得ないというのが現実ではないでしょうか。バロネスのようなネット専売商品で、高くてもそれだけの価値があるというような突き抜けた商品はまた別として。

しかし、珪砂5号の場合は規格化された商品のため、類似の商品をどこでも比較的簡単に購入できます。作業をしていて砂が足りなくなることがあったのですが、気軽に買い足しに行けるのは便利でした。

珪砂5号を芝生の目砂として使うデメリット

続いて、珪砂5号を芝生の目砂として実際に使ってみて感じたデメリットを紹介します。

芝生用に調整された砂ではない

ホームセンターで販売されている珪砂5号は建材用の商品であり、芝生用に調整された砂ではないので、芝生にとって特別良い効果をもたらすことはありません。

例えばバロネスの焼砂(芝生用に調整された高品質な砂)は粒径が揃っているだけではなく、病原菌や雑草の種子を取り除く処理がされていたり、芝生の生育に適したPHに調整されているなどの付加価値があります。作業性ではなく芝生にとっての付加価値を重視するのであれば、珪砂5号ではなく芝生用に調整された高品質な砂を使用することをおすすめします。

かといって、ホームセンターで販売されている珪砂を芝生に使用すると、必ず問題が生じるということではありません。それこそ大抵はどんな砂を使っても芝生は育ちますし、実際に珪砂5号を目砂に使用した芝生に大きな問題は生じていません。

しかし、うちの庭では他の砂(園芸用の川砂やホームセンターで販売されている芝生用目砂)を目砂に使用した芝生の方が、珪砂5号を目砂に使用した芝生と比べて同等かそれ以上に順調に成長しています。珪砂5号は作業性のメリットは大きいですが、芝生の生育が良くなるわけではないというのが正直な感想です。

砂の色が白すぎる

ホームセンターで販売されている珪砂は、普通の砂に比べて色が白いです。

水に濡れると灰色になりますが、乾いているときは白色です。例えるならリゾートビーチの砂浜のような白さです。砂単体で見るとそうでもないのですが、庭に撒くとちょっと浮いて見えるぐらい白いです。

芝生が密に生えている状態で目砂として使用するのであれば、(芝生の中に砂が入り込んで見えなくなるので)砂の色が白くてもあまり気にならないと思います。一方、芝張りのときの目砂に使用したり、不陸修正(地面のデコボコの修正)のために厚めに目砂を入れる場合は、砂の色の白さが目立ってしまいます。

また、白い砂は黒っぽい砂と比べて地温が低くなるので、芝生の生育が比較的悪くなる可能性もあります。色の感覚は人それぞれ異なりますが、個人的には違和感を覚えるぐらいの白さだったのでデメリットであると感じました。

珪砂5号を芝生の目砂としてリピート購入するかどうか

私は実際に珪砂5号を芝生の目砂として使用してみたわけですが、リピート購入するかどうかと聞かれれば微妙なところです。現時点では、通常の目砂として使用するにはナシですが、コアリングの穴に入れる目砂としてアリだと思います。

珪砂5号は芝生の目砂の価格帯としては中ぐらいなので、園芸用の川砂や一般的な芝生専用目砂(目土)と競合します。今のうちの芝生の状況からすると、少しでも芝生の生育が良くなる方が嬉しいので、通常の目砂として使用する場合は後者を選ぶと思います。

しかし、コアリングの穴に目砂を入れていく場合は作業性が重要になるので珪砂5号を選ぶ価値があります。また、密度の高い芝生に使用するのであれば、通常の目砂として使用する場合でも珪砂5号は良い選択肢になるのではないでしょうか。

このように、中ぐらいの価格帯の目砂(目土)は一長一短であるため、自分の芝生の状況や作業の内容に応じて選択することをおすすめします。作業性を重視する方にとっては珪砂5号はコスパに優れた砂になりますよ。

まとめ

珪砂5号を芝生の目砂として使ってみた感想のまとめです。

  1. 珪砂(けいしゃ)とは粒の大きさ(粒径)が揃っている砂である
  2. 一般家庭の芝生で珪砂を使用する場合は「珪砂5号」がおすすめ
  3. 珪砂のメリットは作業性が良いことである
    (乾燥していてサラサラ・粒径が揃っている・ホムセンで売っている)
  4. ホムセンの珪砂を芝生に使用しても問題はないが、
    建材用の商品なので芝生にとって特別良い効果があるわけではない
  5. 同価格帯で園芸用の川砂や一般的な芝生専用目砂(目土)も買えるので、
    芝生の状況や作業の内容に応じて選択することをおすすめ

以上、参考になれば幸いです。



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