マルバノキはハート形の葉っぱと株立ちの自然樹形が魅力的な落葉樹です。
「大きくて可愛らしい葉っぱをした木を植えたい」
「新緑の若葉や秋の紅葉など季節を感じる木がいい」
「あまり剪定しなくても樹形がまとまりやすい木が欲しい」
「虫がつきやすい木は嫌だ」
そんなあなたにはマルバノキがおすすめです。
マルバノキは日本原産の木であり、可愛らしい葉っぱと手がかからず育てやすい特性から、近年人気のある庭木の一つです。雑木の庭だけでなく、シェードガーデンやナチュラルガーデンにもマッチしそうですね。
今回は、マルバノキの特徴や植え方・育て方を詳しく解説していきますので、マルバノキに興味がある方は是非最後までご覧ください!
マルバノキの特徴
マルバノキはマンサク科・マルバノキ属の落葉樹です。
植物名:マルバノキ
別名:丸葉の木、ベニマンサク
学名:Disanthus cercidifolius
マルバノキの葉っぱ
マルバノキの葉は、丸みを帯びたハート形をしています。
とても可愛らしい形をしており、女性の方にも人気がありますよ。
マルバノキは新緑の季節の若葉だけでなく秋の紅葉も綺麗です。
マルバノキは季節の移ろいによって表情が変わり、春から晩秋まで葉っぱの観賞価値が高いのが魅力の一つですね。
マルバノキは秋になると小さな赤い花をつけます。
マルバノキの花はちょっと地味で目立ちにくいですね。
株立ちが美しいマルバノキの木の樹形
マルバノキは株立ち状の自然樹形が美しい木です。
放任しても自然に樹形が整うので、頻繁な剪定は必要ありません。
剪定をする場合は、混み合った枝や不要な枝を根元から切り落としましょう。刈り込むような剪定の仕方は不向きです。
マルバノキの成長速度
マルバノキは成長速度が遅いと言われています。
放任しても自然に樹形が整うこともあり、剪定の手間がかからないのは嬉しいところです。
一方、成長速度が遅いということは、苗木から大きいサイズに育てるのに時間がかかるということです。
庭に大きいサイズのマルバノキが欲しい場合は、マルバノキを苗木から育てるのではなく、最初からそれなりのサイズに育ったマルバノキを購入すると良いでしょう。
マルバノキの樹高
マルバノキの樹高は「2m~4m」が目安です。
園芸関係の書籍やネットでマルバノキの情報を調べると、庭環境における樹高は「2m~4m」と紹介されていることが多いです。中には「2m以下」「1.5m~3m」などと紹介されていることもありますね。
2m前後のマルバノキが普通に販売されていることから、少なくとも2m以上には成長すると考えるべきでしょう。マルバノキを高木として考えると小さいですが、低木というには大きいサイズですね。
実際にマルバノキがどれぐらいの樹高まで育つかは、マルバノキを植えた庭の環境にも左右されますが、2m以上に成長することを考えると狭いスペースに植えることはおすすめしません。
マルバノキは枝先を切り詰めたり、刈り込むような剪定は行わず、自然樹形を楽しむ木ですので、スペースに余裕をもって植えるようにしましょう。
マルバノキは日陰でも育つのか
マルバノキは耐陰性があるので日陰でも育ちます。
マルバノキは日向を好みますが、乾燥を嫌う性質があるので注意が必要です。
夏の西日が差すような日差しが強すぎる場所よりも、半日陰の方が管理しやすいのでおすすめです。
斑入りのマルバノキの品種
マルバノキには斑入りの葉っぱをした園芸品種も存在します。
斑入りのマルバノキもいくつかの品種があるそうですが、有名なのは「恵那錦」という品種です。
「恵那錦」はマルバノキの特徴であるハート形の葉っぱに、白い斑が入るのが特徴です。
私は一度だけホームセンターで「恵那錦」を見かけたことがありますが、珍しい品種なので確実に手に入れたい方はネット通販で購入する方が確実だと思います。
マルバノキの購入方法@ホームセンターで買えるのか?
マルバノキはホームセンターでも買えますが、年中販売されているわけではありません。
マルバノキの苗木(樹高80cm程度)は11月ごろからホームセンターの店頭に並ぶことが多いので、マルバノキを苗木から育ててみたい方は11月~12月にかけてホームセンターをチェックすると良いでしょう。
それ以外の時期にマルバノキの苗木を購入したい場合は、ネット通販で探した方が早いと思います。
大きく育ったマルバノキの成木は、ホームセンターではほとんど販売されていません。稀に大型店で販売されていることもありますが、多くの場合は一点物の販売であり好みの樹形を選ぶことは難しいです。
そこで、大きく育ったマルバノキの成木を買いたい場合はネット通販で購入することをおすすめします。ネット通販の中には、一点毎に樹木の写真を撮影して掲載しており、写真を選んで現品購入できるショップもあるので、多くの木の中から好みの樹形を選びたい場合はそういったショップで購入すると便利ですよ。
ネット通販に抵抗がある場合は、地域の植木屋さんなどに相談してみるのも一つの方法ですね。
マルバノキの植え方
マルバノキを植える時期(季節)
マルバノキを植えるのに最適な時期は2月~3月頃と言われています。
マルバノキは落葉樹なので、葉を落として休眠する冬季に植え替えるのが基本です。冬季の中でも、厳冬期を避けて暖かくなりはじめる2月~3月頃が最も木に負担がかからないということでしょう。
ホームセンターでは、落葉したマルバノキの苗木が11月ごろから店頭に並び出しますので、それ以降から春の芽吹きが始まる前までに植えましょう。
木を掘り取った状態のまま保管しておく必要はない(木に負担がかかるだけ)と私は思うので、購入したら2月~3月頃まで待たずに早めに植えた方が良いと思います。
マルバノキを植える前の土壌改良
マルバノキは土質をあまり選ばずに育ちますが、植える前に土壌改良をしておけばより元気に育ちます。
適度な排水性・保水性を確保できるように、庭土に腐葉土などを混ぜ込んで土作りをしておくと良いでしょう。水はけが悪い場合は、土を適宜入れ替えたり、縦穴を掘るなど通気性・透水性を高めることも有効です。
事前に土作りをする時間がなければ、植えるときに培養土や腐葉土を混ぜ込んでください。
マルバノキを植える手順
それでは、マルバノキの簡単な植え方を具体的に解説していきます。
今回植えるのは樹高80cm程度のマルバノキの苗木です。
まず、マルバノキを植える場所を決めましょう。
木を植える場所を決めるときは、近くからだけじゃなくて、遠くからみたり、色んな方向から確認すると良いですよ。
また、木をふだんよく見る方向から見て一番カッコイイ樹形になるように、木の向きを調整してください。木の向きは好みで決めてOKです。
木を植える場所が決まったら、ショベル(剣先スコップ)などで植穴を掘っていきます。
土をほぐして土壌改良を行うため、穴のサイズは根鉢(またはポットの苗)より一回り以上大きく掘りましょう。
掘った穴の半分ぐらいまでは、土を戻し入れていきます。
事前に土壌改良していない場合は、このタイミングで腐葉土や培養土などを混ぜ込んでください。
また、炭(竹炭・籾殻燻炭)には微生物の活動を活発して木の根の成長を促す効果があるので、手元にある場合は植穴に一緒にいれてやると良いでしょう。
元肥(もとごえ)の肥料は入れなくて大丈夫です。
植穴の準備ができたら、実際にマルバノキの苗木を置いてみましょう。
木を植えるときには、根鉢の取り扱いに注意してください。
根鉢とは、木の根っこと土が一体になった部分のことであり、写真の赤丸で囲った場所のことです。
根鉢の取り扱いのポイントは2つあるので紹介します。
1つめのポイントは、根鉢を全て埋めるのではなく、根鉢の上部を少しだけ~1/3程度が地上に出るように植えることです。
木を深く植えすぎると、木の株元に水が集まりやすい地形となり、根腐れを起こす原因になってしまいます。
そこで、木を植えるときは根鉢の上部が地上に出るように高さを調整してください。水はけが悪い場所の場合は、最大で根鉢の上部1/3程度が地上に出るぐらいの高植えにしますが、それ以上に高くすると木が倒れやすくなるので注意してください。
2つめのポイントは、根鉢に麻布が巻いてある場合は、麻布を外さずにそのまま植えることです。
麻布を外すと根鉢の土が崩れてしまい、木の成長が悪くなってしまう場合があります。麻布や、麻布を縛っている麻紐は、分解されて土に還りますので、外さずにそのまま植えるのが正解です。
稀に、麻布をスズランテープなどのポリ製の紐で縛っていることがありますが、土に還らないのでポリ製の紐は外してから植えてください。
また、小さいサイズの苗木の場合はポリ製のポットに入って販売されていることがあります。苗木がポリ製のポットに入っている場合は、ポットから苗木を出してから植えるようにしましょう。
根鉢の高さが決まったら、根鉢の周囲に土手を作ってから水をたっぷり入れてどろどろの状態にします。この方法を「水極め(みずぎめ)」といいます。
この状態で根鉢を前後左右に揺らすことで、木の根と周囲の土が密着するようになり、植えた後の苗木の成長が良くなります。
水が引いたら土が締まるので、土を足し入れながら同じ工程を何度か繰り返しましょう。
土を狙い通りの高さまで入れて、水が落ち着いたら植え付けは完了です。
必須ではありませんが、木を高植えにする場合などは強風で倒れにくくするためにも支柱を立てておくと安心です。
支柱を立てるときはホームセンターで売られている木杭(丸杭)が便利です。幹に紐を直接縛りつけると傷みの原因になるので、麻布などを幹に巻いて保護すると良いでしょう。
株立ちの樹形など、まだ幹が細くて柔らかい場合は、支柱を使って樹形(幹の向き)をある程度修正することもできます。
支柱はずっとそのままというわけではなく、木の成長に応じて紐を縛り直したり、十分に成長したら支柱を抜くなどのメンテナンスをしてあげてください。
それと、木を植えた後は、株元を腐葉土やバーク堆肥などでマルチングするのもおすすめです。
マルチングには根っこが乾燥するのを防いだり、冬の寒さから守るなどの効果があります。
作業が全て終わったら、最後にたっぷりと水やりをしてあげましょう。
お疲れ様でした!
マルバノキの育て方
マルバノキは乾燥が苦手なので、植え付け一年目は土が乾いたら水やりすると良いでしょう。
また、乾燥や寒さから根っこを守るために、株元を腐葉土やバークチップなどでマルチングしてあげると安心ですね。
根っこがしっかり張って環境に馴染んでしまえば、それ以後は極端に乾燥しない限りは水やりの必要はありません。
まとめ
マルバノキはハート形の葉っぱと株立ちの自然樹形が魅力的な落葉樹です。
マルバノキは以下のような木を探している方におすすめです。
- 紅葉を楽しめる木
- 大きめの葉っぱを楽しめる木
- 自然樹形で育てやすい木
- 剪定の手間がかからない木
- 半日陰でも育つ木
- 病害虫がつきにくい木
マルバノキは以下のような木を探している方にはおすすめしません。
- 一年を通して常緑のままの木(常緑樹)
- 株立ちではなく一本立ちで縦に強く伸びる木
- 最大でも200cmを超えないような低木
常緑樹や低木を探しているという方は、以下の記事でもおすすめの木を紹介していますので、是非あわせてご覧ください。
以上、参考になれば幸いです。