雑木の庭におすすめの樹種11選【高木・中木】

雑木の庭を作るとき、どんな樹種を選べば良いのか迷うこともありますよね。

そこで、今回は雑木の庭におすすめの樹種を紹介していきたいと思います。

私が考える、初心者でもDIYで採り入れやすい樹種の条件は以下の通りです。

1. 樹高3メートル程度で樹形がまとまること
2. 丈夫で育てやすいこと
3. 管理の手間がかからないこと

管理面を考えると、樹高3メートル程度で樹形がまとまる樹種であることは重要です。高さ3メートル程度までは脚立を使って自力で剪定できますが、それを超える高さになると管理が難しくなるからです。

庭環境で樹高3~5メートルぐらいになる樹種であれば、剪定して3メートル程度で樹形をまとめることは可能です。庭植えでも5メートル以上になるような木を無理な剪定で3メートル以下に抑えようとすると、樹形が崩れて見た目が悪くなりがちですし、木にも人にも負担がかかります。毎年プロに庭の管理作業をお願いするなら別ですが、自力で管理するならば大きくなりすぎない樹種をお勧めします。

あとは、丈夫で育てやすく、管理の手間がかからない(成長速度が普通~遅め・虫がつきにくい)ほど、初心者でもDIYで採り入れやすい樹種といえるでしょう。

目次

雑木の庭におすすめの樹種1 アオダモ(落葉樹)

名称:アオダモ
科名:モクセイ科/トネリコ属
成長:やや遅い
日照:日向~半日陰
庭環境での樹高:3~5メートル

アオダモは雑木の庭に欠かせないと言っても過言ではないほど人気の樹種です。

株立ちの樹形の美しさと軽やかな枝葉の雰囲気が特徴で、下枝がなくスラっと伸びた山採りもののアオダモは特に人気があります。4~5月に白いふわふわとした花が咲き、その後にヘリコプターのような実をつけますが、花や実よりも樹形や雰囲気の方が人気のポイントです。

基本的には日当たりの良い場所を好みますが半日陰でも問題ありません。下枝がない山採りもののアオダモは強い日差しに慣れていないため、日当たりが良すぎる場所に単独で植えると枯れ込むことがあります。日向に植える場合は、他の木と密植することで幹に直接日が当たらないようにしたり、マルチングや水やりで乾燥を防ぐようにしましょう。

また、水はけの良い環境を好むので、粘土質の土壌に植える場合は土壌改良に加えて高植えにすると良いでしょう。病害虫の被害にあうことは少なく、成長速度もやや遅いので管理の手間はかかりません。剪定は枯れ枝や徒長枝などを取り除く程度で大丈夫ですが、大きくなりすぎるときは枝の途中で切るのではなく根元から落とします。

アオダモは1年でどれぐらい成長するのか、実際に育ててみたレポートは以下の記事をご覧ください。

アオダモ人気の高まりとともに、山採りもののアオダモの中でも美しい樹形のものは数が少なく値段も高騰しています。最近では畑ものでも”山採り風”の自然樹形のアオダモが生産されていますので、そちらを検討するのも良いでしょう。

雑木の庭におすすめの樹種2 アオハダ(落葉樹)

名称:アオハダ
科名:モチノキ科/モチノキ属
成長:普通
日照:日向~半日陰
庭環境での樹高:3~5メートル

アオハダは雑木の庭で人気の落葉高木の一つであり、真っ直ぐに伸びた幹と爽やかな葉の雰囲気が特徴です。自生している山地では秋になると黄色く紅葉するのも特徴です。アオハダとアオダモは名前や雰囲気がなんとなく似ていますが、アオダモはモクセイ科・アオハダはモチノキ科で全く別の植物です。

アオハダは8~10月に赤い実をつけますが、雌雄異株なので実がなるのは雌株だけです。また、雄株が近くにないと実がならないので、確実に実を楽しみたいなら雌株と雄株の両方を植える必要があります。

環境としては日当たりの良い場所を好みますが半日陰でも問題ありません。水はけの良い環境を好むので、粘土質の土壌に植える場合は土壌改良に加えて高植えにすると良いでしょう。アオハダは根が浅く、根付くまでは風の影響を受けやすいので、植え付ける際は支柱を立てるようにしましょう。

剪定は年に一度、落葉する休眠期(12~2月)に不要な枝や伸び過ぎた枝を根元から落とします。アオハダは病害虫の被害に合いにくく、育てやすいことも人気のポイントですね。

雑木の庭におすすめの樹種3 アカシデ(落葉樹)

名称:アカシデ
科名:カバノキ科/クマシデ属
成長:普通
日照:日向~半日陰
庭環境での樹高:3~5メートル

アカシデは北海道から九州まで広く自生しています。別名をソロ(アカソロ)ともいいます。雑木林でも普通に見られる木であり、野趣に富んだ雰囲気が魅力的ですね。コナラやイヌシデに比べると成長が穏やかで、庭木として比較的取り入れやすい樹種です。

アカシデは丈夫で病害虫も少なく、極端な日陰や水はけが悪い場所でなければあまり環境は選びません。自然樹形を楽しむ木なので切り詰めるような剪定は不向きですが、大きくなりすぎるようであれば落葉する休眠期(12~2月)に枝を根元から落として高さを抑えると良いでしょう。

雑木の庭におすすめの樹種4 イロハモミジ(落葉樹)

名称:イロハモミジ
科名:ムクロジ科/カエデ属
成長:普通
日照:半日陰
庭環境での樹高:2~4メートル

イロハモミジは最も一般的なカエデの木の一つであり、単にモミジという場合はイロハモミジを指すことも多いです。和風の庭だけでなく雑木の庭でも広く取り入れられていますよ。モミジといえば秋の紅葉の美しさが有名ですが、春の新緑も素晴らしいので、庭に植えれば一年を通して楽しむことができるのでおすすめです。

イロハモミジは乾燥に弱く、強い日差しが当たると葉が傷むことがあるので、他の高木の影になり西日が遮られるような場所が適しています。単独で植える場合は半日陰になる場所が良いでしょう。極端な日陰は避けますが、適度な日陰の方が枝振りが繊細でやわらかく美しい雰囲気になりますよ。

イロハモミジは真上ではなく横方向に枝を伸ばすので、広いスペースを確保して植えた方が枝振りを楽しめます。剪定は春に徒長枝を落とし、冬には樹形を整えるような剪定を行います。刈り込むような剪定をすると樹形が乱れるので、自然樹形を生かした剪定をすると良いでしょう。

雑木の庭におすすめの樹種5 エゴノキ(落葉樹)

名称:エゴノキ
科名:エゴノキ科/エゴノキ属
成長:やや遅い
日照:日向~半日陰
庭環境での樹高:3~5メートル

エゴノキは日本全国の雑木林で見られ、5~6月に咲く小さな白い花が魅力的な木です。

エゴノキは日当たりを好みますが半日陰でも問題なく育ちます。乾燥を嫌うので、庭植えしても根が張るまでは水やりが必要です。水不足の場合は葉先から茶色く枯れ込むことがあります。

剪定は休眠期に不要な枝を根元から落とします。根付いてしまえば丈夫で育てやすい木なので、花の雰囲気が気に入った方にはおすすめですよ。

雑木の庭におすすめの樹種6 コハウチワカエデ(落葉樹)

名称:コハウチワカエデ
科名:ムクロジ科/カエデ属
成長:やや遅い
日照:半日陰
庭環境での樹高:2~4メートル

コハウチワカエデはカエデの木の一種です。イロハモミジと比べると葉っぱの切れ込みが浅く、子どもの手のひらのようなかわいらしい形をしています。和洋を問わず合わせやすいので最近では人気の樹種になっています。

コハウチワカエデは漢字では「小羽団扇楓」と書きます。羽団扇=鳥の羽で作った団扇(天狗がもっているウチワ)と形が似ており、類似種のハウチワカエデよりも葉っぱの大きさや樹高が一回り小さいのが特徴です。

コハウチワカエデは乾燥を嫌うので、半日陰や高木の影になる場所に植え付けて、根元をマルチングするなどして乾燥から守ってあげると良いでしょう。自然樹形を楽しむ木であり、成長も遅めなので、剪定の必要はほとんどありません。

雑木の庭におすすめの樹種7 ジューンベリー(落葉樹)

名称:ジューンベリー
科名:バラ科/ザイフリボク属
成長:普通
日照:日向~半日陰
庭環境での樹高:2~4メートル

ジューンベリーは北米原産のバラ科の高木であり、別名はアメリカザイフリボク(セイヨウザイフリボク)といいます。3~4月に白い花が咲き、6月に果実を収穫できることから「ジューンベリー」と呼ばれます。株立ちの樹形、春の新緑と秋の紅葉、白い花、赤い果実と色んな楽しみ方が出来るのが人気のポイントです。

ジューンベリーの果実はそのまま食べても美味しいですしジャムなどに加工して楽しむこともできます。果実を狙って鳥もやってきます。一般的な果樹と比べると収量は少なめですが、果実も楽しめる雑木(またはシンボルツリー)と考えるとお得な気がしますよね。

半日陰でも生育は可能ですが、日当たりの良い場所ほど実つきが良くなるのでおすすめです。夏の西日にも耐えますが、乾燥を防ぐために根元をマルチングしてあげると良いでしょう。

ジューンベリーの剪定については、株元から勢いよく生えてくる「ひこばえ」という新枝を落とす必要があります。株立ちの株を更新したい場合などは、あえて「ひこばえ」を残して育てることもありますが、木の栄養を消費して樹形も乱れるので通常は剪定しましょう。その他の剪定は休眠期に不要な枝を落とすぐらいで十分です。

雑木の庭におすすめの樹種8 マルバノキ(落葉樹)

名称:マルバノキ
科名:マンサク科/マルバノキ属
成長:遅い
日照:日向~半日陰
庭環境での樹高:2~4メートル

マルバノキは、丸みを帯びたハート形の葉っぱが特徴的なマンサク科の落葉樹です。新緑の季節の若葉だけでなく秋の紅葉も観賞価値が高く、女性の方にも人気がある木ですよ。もちろん雑木の庭にもぴったりです。

マルバノキは株立ち状の自然樹形が美しい木であり、成長速度が遅い上に放任しても自然に樹形がまとまるので、頻繁に剪定する必要はありません。

マルバノキは日向でも半日陰でも育ちますが、乾燥を嫌う性質があるため日差しが強すぎる場所よりも、半日陰や高木の木陰になる場所に植えた方が管理しやすいのでおすすめです。

マルバノキについてもっと知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、是非併せてご覧ください。

雑木の庭におすすめの樹種9 ソヨゴ(常緑樹)

名称:ソヨゴ
科名:モチノキ科/モチノキ属
成長:遅い
日照:半日陰~日陰
庭環境での樹高:2~3メートル

アオダモが雑木の庭の落葉樹の代表だとしたら、ソヨゴは常緑樹の代表といえるほど人気の樹種です。

常緑樹は葉っぱが混み合って陰鬱な雰囲気になりがちですが、ソヨゴは常緑樹としては明るい葉をもち、葉は密になり過ぎず軽やかな雰囲気なのが人気の理由です。秋には赤い実がなりますが、ソヨゴは雌雄異株なので実がなるのは雌株だけです。また、雄株が近くにないと実がならないので、確実に実を楽しみたいなら雌株と雄株の両方を植える必要があります。

ソヨゴはある程度の日陰なら耐えますし、最初に根付いてしまえば丈夫な木です。病害虫の被害に合うことも少なく、成長速度も遅いので剪定の手間もほとんどなく、非常に育てやすい樹種です。雑木の庭はどうしても落葉樹が中心になるので、ソヨゴのように育てやすい常緑樹は貴重な存在です。

ソヨゴは1年でどれぐらい成長するのか、実際に育ててみたレポートは以下の記事をご覧ください。

余談ですが、昔からよく庭木として植えられているアラカシ・シラカシは、成長速度が早い上に放任すると非常に大きくなります。かといって無理な剪定をすれば激しく萌芽して手に負えなくなるので、初心者が植えると後から大変なことになりかねません。

ソヨゴは非常に育てやすく、良い意味で癖が無く他の木とも合わせやすいので、雑木の庭の名脇役として活躍するおすすめの樹種です。ただし、成長速度が遅いので、最初からある程度のサイズの木を購入することをおすすめします。

雑木の庭におすすめの樹種10 ハイノキ(常緑樹)

名称:ハイノキ
科名:ハイノキ科/ハイノキ属
成長:遅い
日照:半日陰~日陰
庭環境での樹高:2~4メートル

ハイノキも近年人気のある常緑樹です。細くて軽やかな雰囲気の葉や、灰色の幹の雰囲気は、他の常緑樹にはない魅力があります。4~5月に白い花を咲かせ、8~9月には黒紫色の小さな実をつけます。成長速度が遅くて自然な樹形を維持しやすいことも人気の理由です。

ハイノキは強い日差しを受けると葉焼けすることもあるので、半日陰で育てるのに適しています。全く日が当たらないような暗い日陰は厳しいですが、日陰でも一日に数時間日が差すような場所であれば問題ありません。また、根張りが浅く乾燥に弱いので根元をマルチングしてあげると良いでしょう。

ハイノキは病害虫の被害に合うことも少なく、剪定の手間もほとんどないので育てやすい樹種です。ソヨゴと同じく、最初からある程度のサイズの木を購入することをおすすめします。

雑木の庭におすすめの樹種11 常緑ヤマボウシ(常緑樹)

名称:常緑ヤマボウシ
科名:ミズキ科/ミズキ属
成長:やや遅い
日照:日向~半日陰
庭環境での樹高:3~5メートル

ヤマボウシは日本に広く自生する落葉高木ですが、中国原産の園芸品種に常緑のヤマボウシがあります。常緑ヤマボウシは比較的新しい品種ですが、その名の通り冬も葉を落とさない常緑樹(環境によっては多少葉を落とすこともありますが)で、花付きも良いことから近年庭木として人気を集めています。

5~7月頃に花が咲きます。花の色は白が多いですが品種によってはピンクなどもあります。花が咲いた後、秋には赤い実がなり食べることもできます。

半日陰でも生育は可能ですが、日当たりの良い場所ほど花付きが良くなります。自然に樹形が整いやすい木なので剪定もそれほど必要ありません。剪定するなら2~3月が良いとされていますが、花芽は前年の8~9月にできているので、剪定のときに花芽を落とし過ぎないように気を付けましょう。

常緑ヤマボウシは園芸品種なのでいわゆる雑木とは趣きが異なるものの独特の魅力をもつ木です。常緑ヤマボウシには色んな品種がありますので、興味を持たれた方は詳しく調べてみてはいかがでしょうか。

まとめ

どれも育てやすくおすすめの木ですが、好みの樹種は見つかりましたか?

落葉樹ばかりだと冬の景色が殺風景になるので、落葉樹と常緑樹のバランスは7:3ぐらいが良いとされています。複数の樹種を適度に密植することで、お互いの枝葉が直射日光を遮って乾燥を防ぐため雑木の生育に適した環境になります。

木を購入する際のポイントとして、成長速度が遅めの木は、ある程度大きいサイズの木を購入した方が良いです。苗木から育てる楽しみもありますが、見栄えのするサイズに育つまでかなりの年数がかかるので、木を目隠しにしたい場合には不向きです。2メートル以上のサイズの木や自然樹形の木をホームセンターなどで見かけることは稀ですが、ネット通販だと気に入った樹形の木を探して購入できるので便利ですよ。

最後に、雑木の庭を作るためには、メインとなる高木・中木だけでなく低木や下草の存在も欠かせません。木や草はある程度密植した方が里山の雰囲気が出て雑木の庭らしくなりますよ。雑木の庭におすすめの低木や下草は以下の記事で詳しく解説していますので、是非あわせてご覧ください!



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