芝生の更新作業とは、芝生が育ちやすい環境を整えるために行う一連の作業のことです。
具体的には、以下のような作業を行います。
芝生が活動を開始する前に行う更新作業 (2月下旬~3月上旬頃) | ・低刈り ・サッチング ・目砂入れ ・芝焼き |
芝生が活動を開始した後に行う更新作業 (3月下旬~4月頃) | ・エアレーション ・コアリング ・スライシング ・目砂入れ |
更新作業は適切な時期に行わないと逆効果になりかねないので気を付けてください。
芝生が活動を開始する前に行う更新作業の目的は、邪魔な枯れ芝やサッチ層を取り除き、芝が新たに芽吹くための日当たりや通気性を確保することです。
芝生の手入れは、やろうと思えばどこまでも拘ることができます。手をかければ綺麗な芝生になるのも事実ですが、なるべく楽をして綺麗な芝生を作ることが出来れば最高ですよね?
結論、必要最低限の手入れで綺麗な芝生を目指すのであれば、今回紹介する更新作業だけはやっておきましょう。ここで手を抜くと、芝生を復活させるためには何倍も苦労することになりますよ。
具体的な手順を以下で紹介していきますので、是非やってみてください。
最低限やるべきTM9の更新作業とは?
最低限やるべきTM9の更新作業の流れは以下の通りです。
更新作業の時期は、芝生が活動を開始する前の2月下旬~3月上旬が目安となります。
地域やその年の気候によっても異なりますが、多少時期がズレても大きな問題は無いのでご安心ください。
低刈りとは、冬枯れした芝生を可能な限り低く刈り取る作業のことです。
枯れ芝が長く残っているとサッチングがやりにくいので、最初に低刈りを行います。
芝生の成長期に低刈りすると「軸刈り」と呼ばれる状態になり、芝生が弱ってしまいます。
しかし、芝生が活動を開始する前の休眠状態の間であれば、低刈りしても問題ありません。
芝刈り機の刈り高設定を落としてバッサリ刈り込みましょう。
サッチングとは、枯れた芝生が堆積したサッチ層を取り除く作業のことです。
金属製のレーキや熊手を使ってガリガリと取り除いていきます。
サッチ層が堆積すると、通気性が悪くなり病害虫の原因になると言われているので、年に1回はサッチングを行うと良いでしょう。
電動のサッチングマシーン(電動芝刈り機+サッチング刃オプション)があると、ものすごく作業が楽になるのでおすすめです。
サッチングすることにより寝ていた芝が立ち上がるので、再び低刈りしておきます。
低刈りできるのはこの時期だけの特権なのでバッサリいきましょう。
サッチングを行うと芝生の茎や根が剥き出しになります。
茎や根を保護するために目砂入れは必ずセットで行いましょう。
目砂を入れることによって芝生の成長が促進されるので、非常に重要な作業です。
ひとつ注意点があるのですが、芝生を秋植えした場合、翌春の更新作業は不要です。まだサッチが溜まっていることもないですし、芝が弱る原因になるだけなのでやめましょう。
芝生を春植えした場合、翌春の更新作業は芝生の様子を見ながら優しく行いましょう。あまり激しくやると逆効果になる場合があります。しっかり根付いていないようであればやめておいた方が良いかもしれません。
ちなみに、「芝焼き」とは低刈りとサッチングの代わりに芝生の地上部分を燃やして除去する作業のことです。火災リスクや近隣への迷惑を考えると「芝焼き」を住宅地で行うのはおすすめしません。
TM9更新作業1@低刈り
低刈りのやり方は、手持ちの芝刈り機の刈り高設定を一番低くして刈り込んでみてください。
このときに、芝刈り機が地面に引っかかってしまってうまく進めない場合は、うまく刈れる高さまで刈り高設定を上げてみてください。
また、芝生が伸びて長い状態からだと一気に低刈りできないので、段階的に刈り高を下げて何回か刈ってください。
(例)芝生の長さが50mmある場合
1回目は25mm→2回目に10mmで刈る
これは低刈りする前の芝生の様子です。
この枯れ芝がいずれサッチ層になって芝生の生育を妨げるので、低刈りとサッチングで取り除いていきます。
これぐらい伸びている/芝の密度がある場合は、低刈りしてからサッチングした方が作業しやすいですよ。
こういうような芝生の生育が悪い場所は、低刈りしてもほとんど刈れないので、いきなりサッチングからスタートしても大丈夫です。
うちの庭は、冬になると庭が隣家の影になるので、一日中ほとんど日が当たらない場所があります。そういう場所は苔が生えてくるので、サッチングのときに苔も除去していきますよ。
低刈りに使用する芝刈り機は何でも使えますが、できればパワーのある電動芝刈り機がおすすめです。
その中でも、京セラ(旧リョービ)の電動芝刈り機LM-2310/LM-2810は、サッチング刃のオプション機能がついており、春の更新作業に使うには最適な一台でおすすめです。
TM9更新作業2@サッチング
低刈りが終わったら、続いてサッチングを行います。まずは基本となる「レーキを用いた手動でのサッチング作業」から解説していきます。
サッチングには金属製のレーキを使用します。
レーキはとにかく軽いものがおすすめです。サッチングはかなりの重労働なので、重たいレーキだとボディーブローのように疲労が蓄積してしまいます。
また、レーキの爪先(針金の先端)は細いものの方が芝生に食い込みやすく、サッチがよく取れます。爪先が幅広のものは芝生に食い込みにくいです。
私は金象印のホームレーキを使用しています。柄はアルミパイプで非常に軽く、爪先が細くてよくしなるのでサッチングにピッタリの製品です。
私も以前はレーキなんてどれでも一緒だろうと思っていたのですが、このレーキに変えただけですごく快適になったのでおすすめです。
準備ができたら、サッチングを始めましょう。
サッチングのやり方は、レーキを芝生に当てて手前に引いていきます。
あまり力を入れすぎず、何度も同じ場所をガリガリしていると、みるみる内にサッチが取れます。
レーキの爪先を強く食い込ませすぎると、芝のランナー(ほふく茎)が飛び出してしまいますよ。
元から芝生の生育が悪い場所は、特に気を付けてサッチングするようにしましょう。
やり過ぎると芝が弱ったり、部分的なハゲや凸凹の原因になるので逆効果です。
日当たりが良い場所のサッチは乾燥してふわふわしています。
これも積み重なると通気性が悪くなる原因になるので、今のうちに取り除いていきましょう。
日当たりが悪かったり、水はけが悪い場所では、サッチが積み重なって黒くなっています。
黒いサッチは湿って重たい状態になっており、通気性の悪いサッチ層を形成します。
サッチ層を放っておくと、病害虫の原因になりますし、芝生にとって何も良いことがありません。しっかりサッチングで取り除いてやることが大切です。
うちでは今年のサッチング作業中、ガガンボの幼虫50匹とスジキリヨトウの幼虫1匹が発掘されました。サッチ層の中は適度な湿り気と温度が確保されるので、害虫にとって格好の寝床になっていたようです。春になると害虫も活動を再開しますので、その前に駆除しておきましょう。
また、ガリガリやっていると芝生に生えてきた苔も取れるので、サッチと一緒に取り除いておきます。芝生の中に小さい雑草が生えている場合は、サッチング後に抜くと抜きやすいですよ。
サッチング作業を終えた芝生です。
これで芝生面積全体の半分弱なんですが、私の腕と腰は既に悲鳴を上げております。結局、全部やり終えるのに2日かかりました。
写真の左奥側の方が日当たりが悪いので、黒いサッチ層が多くなっています。今後はこのあたりの環境改善が課題ですね。
サッチは全部でトロ舟6杯分ぐらい出たので、雑草堆肥置き場に全部突っ込んでおきました。
サッチは分解されにくいので堆肥の材料には不向きと言われていますが、枝などに比べたら全然早く堆肥になるのであまり気にしていません。
雑草堆肥の作り方はこちらの記事にまとめています。
サッチングは芝生にとってとても大切な作業ですが、芝生管理全体の中でも屈指の重労働です。
レーキを使ってサッチングしてみたけど大変すぎて途中で嫌になってしまったという人もいると思います。
そんな方には、京セラ(旧リョービ)の電動芝刈り機LM-2310/LM-2810がおすすめです。あっという間にサッチがもりもり取れるので、サッチングがとても楽しい作業に思えてきますよ。
LM-2310でサッチングした後の芝生接写です。
芝生に溜まっていたサッチが掻き出されてスッキリして見ますね。LM-2310だけで簡単にここまでサッチングすることが可能です。
京セラ(旧リョービ)の電動芝刈り機LM-2310/LM-2810については以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は是非あわせてご覧ください。
TM9更新作業3@低刈り(二回目)
サッチングが終わったら二回目の低刈りです。
サッチングすることによって芝が掻き出され、茎が立った状態になっているので、二回目の低刈りでもかなり刈り取ることができます。
低刈りの要領は1回目と同じで大丈夫ですよ。
LM-2310で二回目の低刈りを完了したところです。
サッチング後の写真と比較すると、低刈りすることによって不要な枯れ芝がさらに除去できていることがわかると思います。
TM9更新作業4@芝生の目砂入れ
枯れ芝を除去した後の芝生はいわば剥き出しの状態なので、寒さや乾燥から守ってあげるためにも目砂/目土を入れてあげることをおすすめします。
目砂は一度に多く入れすぎず、厚さ2mm前後で薄く入れていくのがポイントですよ。
目砂/目土は何を選べばいいのかというのは、床土の状態によっても変わります。目砂/目土について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
目砂を撒いたら、トンボやブラシを使って芝生に目砂を刷り込んでいきます。芝生の凸凹の修正(不陸修正)に使う場合はトンボがおすすめです。
トンボは購入すると意外に高いのですが、簡単にDIYで作成できるので興味のある方は是非自作してみてください。トンボのDIY方法は以下の記事で詳しく解説しています。
目砂を入れた後の芝生接写です。
芝生の根元を目砂で保護してあげて、茎は地上に出ている状態(全て埋めるのはNG)を目安にしてみてください。
更新作業を劇的に楽にするサッチングマシーンのすすめ
今回紹介した更新作業の中では、サッチングがダントツでしんどい作業になります。
サッチング作業中は常に前傾姿勢でガリガリしているので、腕はパンパンになりますし背中や腰にも負担がかかります。庭が広い方は、一度に全部やろうとすると非常に大変なので、何日かにわけて計画的にやった方がいいです。
でも、サッチングは最も大切な手入れの一つなので、しんどいからやらないという選択肢はありません。「サッチングはやらないといけない。でもしんどい作業は嫌だ!」という、あなたに朗報です。
手作業のサッチングをやめて『サッチングマシーン』を導入すれば劇的に楽になります。
サッチングマシーンとは、その名の通り芝生のサッチングを行うための機械のことです。サッチングマシーンは非常に便利なのですが、導入するには相応のコストがかかるのが欠点でした。
しかし、京セラ(旧リョービ)から、サッチングマシーンとしても使用できる電動芝刈り機が販売されているのです。この記事でも紹介してきたLM-2310/LM-2810がその電動芝刈り機になります。私も実際に購入してみて思いますが、今やサッチングマシーン抜きに芝生管理をすることは不可能です。
既に別の芝刈り機を持っている方からすれば「芝刈り機2つも要らんやろ」って思いますよね。でも、サッチングってかなりの重労働なので芝生の面積によっては貴重な週末を数日間は費やさないと終わりません。しかも天気が良い行楽日和の日にしかできないんですよ。
芝生の更新作業をする時期はちょうど冬から春へと季節が変わるタイミングなので、子どもからしたら色んなところに遊びにいきたい時期なんですよね。そんな時期の貴重な週末を芝生の更新作業だけに費やしても良いものか…でも更新作業をやらないと綺麗な芝生にならないし…
しかし、サッチングマシーンさえあれば更新作業にかかる時間は手動の4分の1程度(当社比)。しかも身体への負担が少ないので、土曜日に更新作業を終えたら日曜日には家族で元気に遊びにいけます!そう考えると、サッチングマシーンはすごく価値のある投資だと思いませんか?
京セラ(旧リョービ)の電動芝刈り機LM-2310/LM-2810については以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は是非あわせてご覧ください。
まとめ
今回は、芝生が活動を開始する前に行う更新作業のやり方を解説しました。
おさらいですが、芝生の更新作業とは、芝生が育ちやすい環境を整えるために行う一連の作業のことです。
更新作業をやるのとやらないのとでは、後の芝生の成長に大きな差が出るのでしっかりやりましょう。
更新作業は疲れる作業ですが、適切な道具を使用すれば効率的に行うことができます。
特にサッチングマシーンを導入すれば劇的に楽になるので、時間をお金で買う派の方は迷わず買いましょう。
低刈りとサッチングが終わり、もう少し暖かくなったらエアレーション(コアリング)の適期になりますね。芝生の更新作業についてもっと知りたいという方は、以下の記事も是非あわせてご覧ください!