庭の水はけが悪い場合、木を植えることを諦めないといけないのでしょうか?
いいえ、粘土質で水はけが悪い庭でも、土壌改良すれば木が健康に育つ環境を作ることは可能です。
この記事では土壌改良のDIY手順を具体的に紹介していきますので、水はけの悪い庭に雑木を植えたいと考えている方は是非最後までご覧ください。
雑木類の植栽に適した土壌とは
雑木類の植栽に適した土壌は「水はけが良くて水もちが良い土」であると言われます。
なんだかややこしい表現ですが、簡単に言うと「水や空気を適度に含んだ“ふかふかの土”」という意味です。
一般的な住宅地の庭土は、建築の際に粘土質の土や真砂土(山砂)を転圧して造成されていることが多く、土がカチカチの状態になっていることがよくあります。カチカチの土は水や空気を通しにくいので、雑木類をはじめとした植物を育てるのに適した土壌とは言えません。
そのため、木を植える前に土壌改良を行うことが必須となるのです。
粘土質で水はけが悪い庭に雑木を植える方法
それでは粘土質で水はけが悪い庭に雑木を植えるには、どうすればいいのかという方法を紹介します。
木を高植えにする
最も簡単で有効な方法は、木を植えるときに高植えにすることです。
高植えとは、周囲の地面よりも木の根元が高くなるように土を盛って植え付けをすることです。
高植えすることによって、水が木の根元にたまらず外に流れるので、水はけが良くなります。
ただし、粘土質で水はけが悪い庭の場合、ただ高植えにするだけでは不十分です。他の対策を併用するとより効果的になるでしょう。
植栽マウンドを造る
木を植える前に土壌改良することが必須とはいえ、地中深くまで穴を掘って土を丸ごと入れ替えるというのはとても大変です。
そこで、土壌に問題を抱えている場合は、地面の上に良質な土や有機物を盛って「植栽マウンド」を造ることをおすすめします。
植栽マウンドのメリットは、物理的に穴を掘る労力が少なくすむことや、周囲より地面が高くなることによって水はけが良くなることなどです。
縦穴暗渠(点穴)と横溝を掘って通気透水を確保する
植栽マウンドによって地表近くの土を改善できたとしても、その下の地面がカチカチのままでは木の根っこが健康に成長することができません。
そこで土中の環境を改善するため、地面に縦穴(点穴)と横溝を掘ることによって、土中の水と空気が動きやすい状態=通気透水を確保する必要があります。
この方法のメリットは、地中全ての土を入れ替えなくても土壌改良の効果が期待できることです。
有機物を使って土壌改良する
土壌改良をするときのポイントは、落ち葉や炭などの有機物の力を借りることです。具体的な使用方法は次の段落で紹介します。
有機物は必ずこれを使用しなければならないという決まりはありませんので、自身の環境で手に入りやすいものを使うのが基本です。
ホームセンターなどで購入する場合は、バーク堆肥または腐葉土を基本として、できれば籾殻燻炭(もみ殻くん炭)や藁などもあると良いでしょう。
また、腐葉土(雑草堆肥)は自分で簡単に作ることもできるので、興味のある方は是非試してみてください。
庭DIYで植栽マウンドを造る方法
それでは、実際に庭DIYで雑木を植えるための「植栽マウンド」を造っていきたいと思います。
執筆当時は初夏(5月下旬)で落葉樹を植えるには適していない時期のため、事前に土壌改良だけしておいて晩秋以降に雑木を植える計画です。
1. 植栽場所の地面を掘り下げる
まずは木を植える予定場所の地面を掘り下げます。
ここは以前行った暗渠排水DIYで出た残土を盛って築山にしている場所ですが、もちろん平坦な場所を選んでも問題はありません。
地面を掘る深さに決まりはありませんので、自分の体力と相談して掘ってください。できれば30cm以上は掘って土壌改良したいところです。
地面を掘るときは、掘った土を地面の上に直接積んでいくのではなく、ブルーシートを拡げて土置き場を作ると後の残土処理が楽になります。
芝生の上にブルーシートを拡げる場合、半日~1日程度であれば芝生への影響は特に問題ありません。何日もブルーシートや残土を乗せっぱなしにすると、芝生が蒸れてダメージを受けてしまうので注意してください。
地面を掘っていると青灰色の異臭を放つ土が出てくることがあります。これは酸欠状態で“グライ化”した土であり、こういう土は雑木などの植物が育つのに適していません。
でも、しっかり土壌改良をすれば改善しますので安心してくださいね。
2. 縦穴暗渠(点穴)と横溝を掘る
地面を全体的に掘り下げたら、土中の水と空気の動きを作るために縦穴暗渠(点穴)と横溝を掘っていきます。
縦穴を掘るときは、複式ショベル(ダブルスコップ)という穴掘り専用の器具を使うことをおすすめします。
剣先スコップや園芸用の小さいスコップで掘るのは大変なので、庭DIYをガッツリやるなら早めに買った方がいいですよ。
縦穴は木を植える場所の近くに掘ると良いでしょう。
木の根鉢の横に縦穴を掘るイメージです。この縦穴が、木の根っこに水や空気を送り届ける役目を果たします。
縦穴はなるべく50cm以上は掘りましょう。
粘土質の地層を掘りぬいて、通水層(水はけのよい砂礫質の地層)まで到達できればベストですが、どこまで掘ればそうなるのかは現場によって違います。
縦穴を深く掘るのはかなり大変なので、自分のできる範囲で掘ればいいでしょう。
全体を掘り終えるとこんな形になります。
ちなみに、この場所はこの下に暗渠排水のコルゲート管が通っています。暗渠排水DIYの詳細は以下の記事をご覧ください。
3. 有機物を投入する
穴を掘り終わったら、その穴に有機物などを投入して埋め戻していきます。
まず、地面を掘ったときに出てきた石やガラは縦穴の底に入れておきます(量が多い場合は適宜調整)。
次に、微生物の活動を促すために籾殻燻炭(または竹炭など)を投入します。
さらに、縦穴にコルゲート管(または節を抜いた竹)を差し込みます。
このコルゲート管は地中の湿気抜きや空気の通り道の役割を果たします。また、雑木を植えた後に地中深部へ直接水やりをするときにも役に立ちます。
コルゲート管の周りには剪定枝や藁などを差し込んでいきます。これは管を固定するとともに、空間を確保して微生物の活動を促す目的もあります。
縦穴の処理が終わったら、続いて穴全体にも有機物を投入していきます。
まず最初に藁を全面に敷いています。藁はホームセンターで購入することができますよ。
藁の上から籾殻燻炭(または竹炭)を投入して絡ませていきます。
土壌改良を行うには菌や微生物の力を借りることが必要です。藁や籾殻燻炭は、菌や微生物の活動を促す効果が高いので、是非活用してみてください。
藁と籾殻燻炭の上からさらに有機物を投入していきます。
今回は無料で入手したバーク堆肥を大量に投入しましたが、他にも雑草堆肥・腐葉土・庭木の剪定枝葉など手に入りやすいもので構いません。
バーク堆肥を無料で入手した方法については、以下の記事で詳しくレポートしています。
4. 雑木を植栽する
土壌改良と同時に雑木を植える場合は、有機物の投入が一段落したタイミングで根鉢を入れていきます。
今回は、事前に土壌改良だけしておい後日雑木を植える計画なので、雑木の植栽の解説は割愛します。
5. 土留めの柵を作って埋め戻す
植栽マウンドを高く盛る場合、土やマルチング資材が流れ出さないように土留めを作る必要があります。
土留めの方法はいくつもありますが、今回は昔ながらの「しがら柵」を作っていきます。
「しがら柵」は一定間隔で地面に打ち込んだ杭の裏側に、縦に割った竹や剪定枝などを組み込んで作成します。杭にはセリアの焼杉杭(H600mm×Φ30mm)を採用しました。
杭を打つ間隔は、裏側に組み込む竹や剪定枝の長さに合わせて決めます。間隔が広すぎると組み込みにくくなるので注意してください。
杭は木槌などを用いて地面に打ち込んでいきます。
杭を打ち込んだら、杭の裏側(植栽マウンドと杭の間)に竹や剪定枝などを組み込んでいきます。
柵を組んだら、柵の裏側(植栽マウンドと柵の間)に石・瓦礫・バーク堆肥や落ち葉などの有機物を入れ込んでいきます。
単純に土を入れるよりも通気性・透水性がよくなり、植栽マウンドに植える木の根っこの成長を促すことができます。
本当はもう少し柵を高くしたかったのですが、剪定枝が足りなかったので今回は一旦ここまでとなります。
土留めとなる「しがら柵」を作ったら、全体のバランスを見ながら庭土を被せます。低木や下草の植栽を同時に行う場合は、このタイミングで配置を決めていきます。
なお、庭土に粘土質の土のかたまりや、石やガラが含まれている場合はなるべく取り除いておきましょう。
6. 地表をマルチングする
最後に地表をマルチングして作業完了です。
マルチングせずに土を剥き出しにしておくと、雨水で地面が固まったり土が流出する可能性が高まります。
ですので、植栽は後日行うという場合でもマルチングはしておいた方がいいでしょう。
マルチング資材は、落ち葉やバーク堆肥など手に入りやすいもので大丈夫です。
雑木の植栽に関するQ&A
まとめ
雑木を植えるための土壌改良のまとめです。
- DIYでも粘土質の庭の土壌改良は可能です!
- 雑木に適した土は「水や空気を適度に含んだ“ふかふかの土”」
- 一般的な住宅地の庭土はカチカチになっていることが多いので、
雑木を植える前に土壌改良することが必須である - 一番簡単な対策は木を高植えにすること
他の対策と一緒に実施するとより効果的 - 土壌に問題を抱えている場合は、
地面の上に良質な土や有機物を盛って「植栽マウンド」を造る - 併せて地面に縦穴(点穴)や横溝を掘って、
土中の通気透水を確保することで根の成長を促す - 土壌改良をするときのポイントは、
落ち葉や炭などの有機物の力を借りること
以上、参考になれば幸いです。