春シーズン初めの3~4月に芝生を張った人にとっては、芝生4ヵ月目はちょうど梅雨入り~梅雨明けの時期であり、芝生が加速度的に成長を早める季節になります。しかし、梅雨は芝生の病害が発生しやすい時期なので注意が必要ですし、芝刈りや雑草対策などお手入れもだんだんと増えていきます。
また、芝生の品種や庭の環境によって芝生の生育は異なるので、「同じ時期にTM9を張った人の芝生はどれぐらい成長しているんだろう?」と気になりますよね。また、「芝生がなかなか綺麗にならないけど、どうすればいいんだろう?」と悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。
そんなときは、実際にTM9の芝張りをした人の記録を見るのが一番参考になりますよね。うちのTM9は今月もトラブルが発生して対処していきましたので、詳しく紹介していきたいと思います。
TM9芝張り後の成長記録@前回までのおさらい
はじめに、芝張りから3ヵ月目の成長記録のおさらいです。
3ヵ月目の芝生は思うように成長してくれず、足踏み状態が続いていました。以前から芝生の中央エリアの生育が比較的悪いことが気になっており、害虫(シバオサゾウムシ)の被害による影響が考えられたので、6月3日に殺虫剤を散布しました。詳細については前回の記事をご覧ください。
TM9芝張り後の成長記録@4ヵ月目
それでは、TM9芝張りから4ヵ月目の成長記録を見ていきましょう。
<10日毎の成長記録>
4ヵ月目の芝生は、3ヵ月目までの不調が嘘のようにV字回復で成長してくれました。理由は6月とは思えないほど天候に恵まれたことと、殺虫剤の効果により害虫の被害が抑えられたことだと思っています。
続いて、1日毎の成長記録と対象期間の気温推移を細かく見ていきたいと思います。
<1日毎の成長記録>
関西地方は6月14日に平年より8日遅れで梅雨入りし、6月28日に統計開始以来最速・最短での梅雨明けとなりました。6月下旬はこの時期にしては異常なほど雨が降らず、最高気温35℃前後のカンカン照りの日が続いていました。
通常、梅雨の時期は絶え間ない雨と日照時間の少なさなどの影響で、芝生にとっては好ましい環境ではないことから病害の発生が心配されます。しかし、今年の梅雨は雨が降らなさすぎて水やりこそ大変だったものの、気温・日照時間は芝生にとって非常に良い環境だったことから成長が加速したものと思われます。
一方、7月に入ってからは「戻り梅雨」が長引いており、毎日のように曇りまたは雨が続いています。梅雨末期のような集中豪雨もあり、芝生にとっては厳しい環境となっています。天気予報では、来週からようやく「戻り梅雨」にも終わりが見えそうなので、早く夏らしい気候が戻ってくることを期待したいですね。
TM9芝張り後のお手入れ@4ヵ月目
それではここからは、うちの芝生で実際に行ってお手入れの内容を紹介します。
水やり
6月下旬は梅雨とは思えないほど雨が降らず、カンカン照りの日が続いていたので、ほぼ毎朝水やりをしていました。7月に入ってからは「戻り梅雨」のため全く水やりはしていません。水やりの頻度や量は天候や芝生・土の状態を見て判断することが重要です。
カンカン照りが続いていたころに「水やりしすぎるのも芝生にとってよくないんじゃないか?」と思って、試しに水やりをしなかった日があったのですが、朝の水やりを飛ばしたところ昼前には水切れサインが出てきたので慌てて散水しました。
芝生は極端な水不足になると、葉っぱを丸めて細い針のような見た目になります。これを水切れサインと言うのですが、このまま放置すると芝生が枯れてしまうこともある危険な状態です。
通常は夏の日中に水やりするのはNGなのですが、水切れサインが出たときは時間帯を問わずに水やりを優先してください。水切れサインが出てすぐに水をやれば、ほとんどの場合は回復して葉っぱが元の状態に戻ると思います。
ということは、水切れサインが出たら水やりをすれば良いんじゃないか、と考えるかもしれませんがそれは間違いです。水切れサインは芝生にとっての危険信号なので、その状態になるまでの間に水やりをすることが好ましいのです。水切れサインが出てからの水やりは緊急措置だと覚えておきましょう。
芝刈り
芝刈りは刈り高設定20mm、頻度は週1回を目安に行っています。
TM9は成長が遅い品種なので、毎週芝刈りをする必要はないんじゃないかと思われるかもしれませんが、私が毎週芝刈りをしているのには2つの理由があります。
1つ目の理由は、芝刈りをすることによって芝草の“分げつ”を促し、芝生の密度を高めることができるからです。そのためには、たとえ少ししか刈れなくても芝刈りの回数を増やすことは有効です。ただし、芝張り1年目から低く刈り込みすぎると芝生に負担がかかるので、芝生管理に慣れた方以外は刈り高設定20mm以上(夏場は25mm以上でも)を目安にしましょう。
2つ目の理由は、うちの庭の芝生は場所によって成長速度にかなり差があり、コンクリ際などの成長が早い場所は週1回は芝刈りしないと軸刈りになってしまうからです。
とはいえ、毎週芝刈りをするのは大変だと思う方も多いと思います。芝刈りの回数を少なくしたいときは、刈り高設定を高くすることをおすすめします。芝生管理は短距離走ではなくマラソンのようなもの。自分が無理なく続けられる範囲でお手入れするのが長続きするコツですよ。
草抜き
雨が降ると雑草の成長も加速するので、この時期は特に芝生の草抜きも重要なお手入れの一つになります。
芝張り一年目にできる雑草対策は、ひたすら草を抜き続けることです。雑草は目地の部分や芝生がハゲて地面が剥き出しになっているところには特によく生えてきますが、雑草をそのままにしておくとその部分に芝生の匍匐茎が伸びて根を下ろすことができません。雑草をこまめに抜くことによって、徐々に綺麗な芝生になっていくのです。
草抜きがめんどくさければ、芝刈り機で芝生と一緒に刈り込むだけでもある程度の雑草対策になります。いずれにしても、夏場はなるべく炎天下での作業を避け、熱中症対策を万全にして無理のない範囲でやることが大切です。
中には除草剤は使えないのか?と思う方もいるかもしれません。ネットの情報では、芝張り一年目から除草剤を使用する方もいるようですが、一年目に除草剤を使ったら芝生が弱ってしまったという話も聞きます。ここではおすすめしませんが、もし除草剤を使うのであれば、説明書をよく読んでから使用してください。
芝生の肥料の散布
今月は芝生の肥料は散布していません。先月には肥料(イデコンポガーデン)を規定量散布しています。
肥料というのは多く使えば使うほど効果があるというものではありません。早く成長して欲しいからといって、つい肥料をたくさん使いたくなるかもしれませんが、肥料を与えすぎると成長が早まるどころか芝生が肥料焼けを起こしたり病害虫の原因になってしまいます。
肥料は説明書き通りに使用するのが一番効果的です。イデコンポガーデンは「年に2~3回の散布、使用時期は3月~10月中旬、1回の散布量は30g/㎡」とされていますので、次回は9月上旬前後に使用する予定です。
殺虫剤の散布
うちの芝生ではシバオサゾウムシという害虫の被害が発生しています。
先月殺虫剤のスミチオンを散布したことで一時的に被害は落ち着いたのですが、約2週間後の6月15日の見回りで若齢のシバオサゾウムシ成虫を10匹以上発見したため、翌日に追加で殺虫剤「フルスウィング」を使用しました。
スミチオンは芝生だけでなく野菜から果樹まで幅広い作物に使用できる有機リン系殺虫剤です。特徴としては即効性は高いですが、効果は持続しないのでターゲットの虫の発生に合わせてピンポイントで使用する必要があります。
フルスウィングは芝生専用のネオニコチノイド系殺虫剤です。特徴としては即効性に加えて、浸透移行性があるため殺虫効果が長く続きます。浸透移行性とは、殺虫剤の有効成分が芝生に吸収され、その芝生を食害した虫に殺虫効果を発揮するというものです。
実際の効果はどうだったのかというと、6月16日にフルスウィングを散布したあと、今まで1ヶ月以上経ちますが生きているシバオサゾウムシ成虫は一度も見かけていません。シバオサゾウムシ成虫の亡骸は何体か見つけましたが、逆にフルスウィングを散布するまではスミチオン散布時を含めて亡骸を見かけたことは一度もありませんでした。
これは確実にフルスウィングが効果を発揮したものだと考えられますので、シバオサゾウムシに悩まされている方には殺虫剤フルスウィングをおすすめします。フルスウィングはホームセンターでは販売されていないため、Amazonや楽天などのネット通販で購入しましょう。
殺菌剤の散布
7月上旬の「戻り梅雨」の影響により、既存の芝生エリアにカーブラリア葉枯病と思われる病害が発生したため、今年新しく芝張りしたエリアを含めて殺菌剤「ラリー水和剤」を2度散布しました。幸いなことに早期発見で殺菌剤を散布したため、今のところ病害が広がることはなく芝生も回復傾向にあります。
芝生に病害が発生した場合の基本的な対応策は、殺菌剤を使用して病原菌の活動を抑えるか、そのまま何もせず様子を見て自然回復を待つかの二択になります。カーブラリア葉枯病(などのヘルミントスポリウム属菌による病害)は梅雨や秋雨の時期に発生しやすく、放っておくと爆発的に広がることもあるのでなるべく早く殺菌剤を散布することが好ましいでしょう。
殺菌剤を使用したことがなくてどうすればいいのかわからないという方は、別記事に殺菌剤の使用方法などをまとめてあります。初めて殺菌剤を使用する方はこちらもあわせてご覧ください。
植物成長調整剤「アルムグリーン」散布
前月に引き続き、植物成長調整剤「アルムグリーン」を散布しました。
アルムグリーンは国内で唯一、漢方生薬発酵熟成液で農水省の農薬登録を取得した農材です。植物生長調節剤として芝・バラ・イチゴに使用することができます。
天然成分により、芝の発根力を高め、成長を促進する効果があるとされています。
アルムグリーンは漢方薬ですので散布して直ぐ効果が表れるわけではなく、長期間継続使用することによって効果が期待できます。今年はアルムグリーン以外にも色々やっているので、どこまでアルムグリーンの効果なのかはわかりませんが、去年の芝生より調子が良いのは事実ですので今後も使用を継続していきたいと思います。
まとめ
芝張り後4ヵ月目の成長記録&お手入れのまとめです。
- 水やりの頻度や量は天候や芝生・土の状態を見て判断する
カンカン照りが続くようであれば毎日水やりする必要があることも
水やりの時間は朝か夕方以降が好ましい - 芝刈りはできれば週1回のペースで行う(TM9は減らしても可)
芝刈りの回数を減らしたい場合は刈り高設定を高くする(芝丈を長くする) - 草抜きも重要なお手入れの一つ
ただし炎天下での作業には十分注意する - 肥料を散布する場合は説明書通りに使用すること
肥料は使えば使うほどよく育つというものではない - 病害虫の被害が発生したときは殺虫剤/殺菌剤の早期使用がポイント
梅雨の時期は病害が発生しやすいので注意する
次回:5ヵ月目までの成長記録はこちらです。