春シーズンに芝生を張って7ヵ月目は徐々に秋が深まっていく季節。芝生は成長のピークを過ぎ、緩やかに休眠へと向かう時期なので、見た目の変化は乏しくなってきたころかもしれませんね。
しかし、秋の芝生は見た目の変化が乏しくなる一方、来春に向けて準備をスタートする時期でもあるので、この時期のお手入れは来年の芝生につながる重要な時期です。
また、芝生の品種や庭の環境によって芝生の生育は異なるので、「同じ時期にTM9を張った人の芝生はどれぐらい成長しているんだろう?」と気になりますよね。「芝生がなかなか綺麗にならないけど、どうすればいいんだろう?」と悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。
そんなときは、実際にTM9の芝張りをした人の記録を見るのが一番参考になりますよね。今月もうちのTM9の様子を詳しく紹介していきますので、ちょっと覗いていってみてください。
TM9芝張り後の成長記録@前回までのおさらい
はじめに、芝張りから6ヵ月目の成長記録のおさらいです。
6ヵ月目の芝生は、お盆を過ぎてからも芝生は順調に成長し、芝生の密度・葉色の濃さともに良くなってくれました。芝生が良くなった理由は、季節的な要因に加えて、病気・害虫の被害を抑えられたことが大きいですね。詳細については前回の記事をご覧ください。
TM9芝張り後の成長記録@7ヵ月目
それでは、TM9芝張りから7ヵ月目の成長記録を見ていきましょう。
<10日毎の成長記録>
7ヵ月目の芝生は、前半の9月中は順調だったのですが、後半の10月に入ってからは気温の低下と連日の雨の影響から病害を発症してしまいました。
定例撮影の写真ではややわかりにくいですが、別アングルからの写真で見比べるとわかりやすいです。
写真左側の芝生では葉が黄色くなる黄化現象や枯れが進んでいます。右側はまだ緑を保っているように見えますが、色が若干黒っぽくなっているのは病害の影響だと考えられます。
仮に病害がなければどういう状態になっていたのか、ということがわからないのは残念ですが、「秋だから枯れてきたのかなあ」と油断していると病害や害虫のせいということもあるという貴重な経験になりました。
続いて、1日毎の成長記録と対象期間の気温推移を細かく見ていきたいと思います。
<1日毎の成長記録>
私が住んでいる関西地方では、9月中旬までは真夏のような残暑が続いていましたが、9月下旬から秋らしい気候となりました。この天候のおかげで、9月中の芝生は綺麗な状態を保つことができました。
一方、10月に入ってからは一気に気温が下がり、連日の雨も相まって体感温度はかなり寒くなっています。
この気温の低下と連日の雨の影響で、病原菌にとってちょうどよい発生条件が整ったことにより、芝生の病害が広がってしまったものと考えられます。
このように9月に入ってからも暑い日が続いていることが、芝生がピークアウトせずに成長を続けている要因の一つになっていると思われます。
TM9芝張り後のお手入れ@7ヵ月目
それではここからは、うちの芝生で実際に行ったお手入れの内容を紹介します。
水やり
7ヵ月目の水やりは、9月中旬に1度だけ行いました。
今年の9月中旬は最高気温30度~35度と真夏並みの暑さが続いており、しばらく雨も降らなかったので1度だけ水やりしましたが、それ以外は水やりする必要はありませんでした。
秋以降は芝生に水やりをする機会も少なくなりますが、油断すると水切れを起こしてしまう可能性もあります。適切な水やりの頻度はお住まいの地方や庭の環境によっても大きく異なりますので、芝生の様子をよく観察して判断しましょう。
芝刈り
芝刈りの頻度は2週間に1回に減らしました。
元から成長が遅い品種のTM9ですが、秋になり気温が低下しはじめると芝がほとんど伸びなくなります。
芝の伸びだけで言うと芝刈りをする必要がないぐらいなんですが、2週間に1回芝刈りをしているのは「穂刈り」をするためです。
TM9は春と秋になると芝の穂を伸ばします。この“穂”を放置すると、TM9は「先祖返り」といって品種改良前の高麗芝に戻ってしまうことが稀にあるため、定期的に刈り取りすることを強くおすすめします。
また、前回は刈り高設定を25mmまで上げましたが、今回は20mmまで刈り高を下げました。刈り高を戻した理由は、刈り高を下げないと穂がうまく刈れなかったからです。
わが家の芝生ではこれより刈り高を下げると、部分的に軸刈りになる可能性が高いため、今後しばらくは刈り高20mmで様子を見たいと思います。
草抜き
気温の低下とともに雑草が生えるスピードも遅くなり、わが家では芝生の草抜きはほとんどする必要がなくなってきました。
来シーズンに向けて除草剤を使うのであれば10月~11月が適期となります。
ただし、芝張り一年目の芝生に除草剤を使うと、芝生が枯れてしまうリスクがあるという意見もあります。
これは芝の生育状況や、使用する除草剤の種類にもよるので、慎重に判断しましょう。
芝生の肥料の散布
9月頭に有機肥料のイデコンポガーデンEVを規定量散布したので、今年はもう肥料を使う予定はありません。
夏以降に肥料を使用していない方は、芝生が休眠に入る前(目安は10月~11月)に止め肥として肥料をあげてください。
イデコンポガーデンは肥料の効果が表れるまで約2~3ヵ月かかるので、9月にイデコンポガーデンを散布すると、ちょうど11月頃に効いてくる計算です。
肥料を散布する時期や量は、肥料の種類によっても違うので、必ず取扱説明書をよく読んでから使用しましょう。
殺虫剤の散布
9月下旬に害虫対策&予防として殺虫剤「フルスウィング」を使用しました(今年2回目)。
今年すごく悩まされたシバオサゾウムシや、コガネムシの幼虫の越冬対策をするのが狙いです。
前回フルスウィングを使用したとき、シバオサゾウムシに対して効果てきめんだったので、もしシバオサゾウムシに悩まされている方がいれば試してみてください。
殺菌剤の散布
前述の通り、今月は芝生に病害が広がってしまったため、殺菌剤「ロブラール水和剤」を使用しました。
10月頭ごろから芝生の枯れが増えてきたのですが、カーブラリア葉枯病(ヘルミントスポリウム系)の特徴が出ていなかったので、害虫の影響または気温低下による季節的なものなのかと思ったんですね。
9月下旬に殺虫剤「フルスウィング」を使用済みだったこともあり、しばらく様子を見ていたんですが芝生の枯れはその後も広がっていき、病害に気付いたときにはかなり広範囲に広がってしまっていたというわけです。
今回の病害は、ラージパッチなどのリゾクトニア系の病害とカーブラリア葉枯病などのヘルミントスポリウム系の病害が併発している可能性があると感じました。
おそらく9月末ごろから前者の症状が出始め、10月に入ってから連日の雨により後者の症状も出てきたんだと思います。
というわけで、今回は両方の病害に効果がある殺菌剤「ロブラール水和剤」を使用しました。
前回は7月に殺菌剤「ラリー水和剤」を使用しているので、ローテーションの意味合いもあります。
まだ使用したばかりなので効果のほどはわかりませんが、これで症状がおさまってくれることを祈ります。
なお、芝生に対する殺菌剤の使い方などは以下の記事で詳しく解説しています。
植物成長調整剤「アルムグリーン」定期散布
今年春から継続使用してきた植物成長調整剤「アルムグリーン」ですが、10月上旬に今年最後の散布を終えました。
アルムグリーンは国内で唯一、漢方生薬発酵熟成液で農水省の農薬登録を取得した農材です。植物生長調節剤として芝・バラ・イチゴに使用することができます。
天然成分により、芝の発根力を高め、成長を促進する効果があるとされています。
アルムグリーンは漢方薬ですので散布して直ぐ効果が表れるわけではなく、長期間継続使用することによって効果が期待できます。今年はアルムグリーン以外にも色々やっているので、どこまでアルムグリーンの効果なのかはわかりませんが、去年の芝生より調子が良いのは事実です。
すでに来年分のアルムグリーンも購入済みなので、これからも継続して使用していきたいと思います!
まとめ
芝張り後7ヵ月目の成長記録&お手入れのまとめです。
- 涼しくなるとTM9の葉は全然伸びなくなるけど穂が出てくるので要注意
なるべく2週間に1回以上は芝刈り(穂刈り)をして先祖返りを防ごう - 秋以降は水やりする必要はほとんどないが、
油断すると水切れすることもあるので注意すること - 夏以降に肥料を使用していない方は、
芝生が休眠に入る前(目安は10月~11月)に肥料を与えること - 9月~10月はまだ害虫に気を付ける必要あり
秋になり雨が増えると病害も発生しやすくなるので、
予防殺菌を行うか早期発見して殺菌剤を散布すること - 来シーズンに向けて除草剤を使うなら10月~11月が適期
ただし、芝張り一年目に除草剤を使うかどうかは慎重に判断する
次回:8ヵ月目までの成長記録はこちらです。